宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない
リドリー・スコット監督による宇宙版ゴシック・ホラー。
任務を終え、地球へ帰還途中の宇宙貨物船ノストロモ号。船長のダラス(トム・スケリット)をはじめ、一等航海士ケイン(ジョン・ハート)、科学者のアッシュ(イアン・ホルム)、技師パーカー(ヤフェット・コットー)、機関長ブレット(ハリー・ディーン・スタントン)、操縦士ランパート(ベロニカ・カートライト)、そして二等航海士リプリー(シガニー・ウィーバー)ら7名の乗組員は未知の惑星から発信された救難信号を受ける。救出のために惑星に降り立ったケイン、ランバート、ダラスの3人は黒く焼け焦げた宇宙船を発見。調査のために船の奥底に下りたケインが見たのは床一面に転がる無数の奇怪な卵状の物体。その一つをのぞき見たケインの顔に卵から飛び出した物体が貼りつく。ノストロモ号に連れ戻されるケイン。彼の顔を覆う物体はしっかり貼りつき、無理に剥がすことは到底無理だった。彼らは知らなかった。その物体が危険な生物の卵であることを…。
きゃぁぁぁ〜ッ!この作品をはじめて観た時、ミーはおこちゃま(本当よ!)だったワケですよ。ついでに高熱にうなされていたワケですよ。デモ、観た。宇宙モノが激しく好きだったんで。病をおして鑑賞した。ところがアナタ、あんなクリーチャーが出てくるなんて!SFじゃねぇよ!ホラーだよ!それも超弩級におっそろしいじゃねぇか!鑑賞後、非常に後悔した。いや、恐い恐いと思いながらも一瞬たりとも目が離せない展開だったので(序盤ののんびり宇宙航海シーンはやや退屈だが)、ご幼少ながら「いやぁスゲェもん観たな」と感動したのだが。鑑賞後、さらなる高熱にうなされた。全身に寒気が走りマシタからね。死ぬかとオモタ。
H・R・ギーガーが作り出したクリーチャーの醜くもどこか妖しく美しい姿に衝撃。蒸気や炎を使った演出もそれまでのSFホラーとは一線を画したものとなっております。実際のところはあまり予算がなくて大掛かりなセットを組んだり、手の込んだ特撮を撮る余裕がなくて蒸気や霧で誤魔化したというのが正解らしい。観た当時は宇宙船がミニチュアだとは気付かなかったよ。女性が1人で戦うというのも当時としては斬新だったかも。リプリーの小さくて白いパンツが目に沁みたなぁ←どんなおこちゃまだ。
リドリー・スコット監督の出世作となる当作品は逃げ場のない宇宙で繰り広げられるゴシック・ホラー。リドリー・スコットはその舞台の雰囲気を伝えるのがウマイ。閉ざされた空間に入り込んできた異形の生物。終盤までほとんど姿を見せないエイリアンに否が応でも恐怖心は募っていく。女性の乗組員がエイリアンに襲われた時に映像ではなく、リプリーが持っているインターホンからの凄まじい悲鳴で伝わってくる恐怖。「た、たす、けて、んぎゃぁぁぁ〜〜〜ッ!た、ず、げ…ひでぶ←言ってない」
その声にならない悲鳴を聞いた時の恐ろしさったら、アナタ!完璧に夜尿症ものですよ!「恐怖」は見えなければ見えないほど倍増するのデスよ!あぁ、今思い出しても漏らしそう。1979年の作品ながら未だに輝きを失わないSFホラーの傑作。
1979年/アメリカ/118分/監督:リドリー・スコット
ALIEN