アニマトリックス

映画「マトリックス」と続編「マトリックス リローデッド」を繋ぐ補完的意味合いの強い9編からなるオムニバス・アニメーション。

「ファイナル・フライト・オブ・ザ・オシリス」
仮想訓練の最中、センティネルによる攻撃を受けたオシリス号はセンティネルの大軍がザイオン攻撃を仕掛けていることを察知する。オシリス号のクルー達は、その情報をザイオンに伝えるために“マトリックス”に侵入して情報を届ける作戦に出るのだが。

「セカンド・ルネッサンス パート1」
マトリックス時代以前。ザイオンのデータ・アーカイブより。第二次ルネッサンス。ヒトは自分に似せたマシンを作った。マシンはヒトに服従し、働き続けた。だが不満は確実に根付いた。ヒトがマシンに全く敬意を払わなかったからだ。B1-66ER。この名は永遠に語り継がれる。はじめてヒトに反抗したマシンとして。B1-66ERが起こした殺人事件をきっかけに、ヒトがマシンを襲う事件が続発。ついには社会から追放されるマシンたち。やがて追放されたマシンは独立国家ゼロ・ワンを築くが…

「セカンド・ルネッサンス パート2」
マシンが築いた国家ゼロ・ワンに恐れをなし、全面戦争を仕掛けた人類。ゼロ・ワンも全方位の反撃に出る。次々に領土を奪われ、追いやられていく人類達。追い詰められた人類は最終手段に出ることになる。それは××の破壊…

「キッズ・ストーリー」
キッドは夢を見た。空中から地上へ柵を掠めて落ちる夢を。夢の出来事に妙な現実感を抱いた彼は、ネットを介して疑問を投げかける。「誰か教えてくれ。なぜ、目覚めたあとより夢に現実を感じる?」と。何者かがそれに答える。「真実を知りたければ全てを犠牲にする覚悟をしろ」…その日を境にキッドは、日常に奇妙な違和感と孤独感を感じるようになる。

「プログラム」
平原を疾走する騎馬隊。放たれる炎の矢。降り注ぐ矢を槍で難なくあしらい、騎馬隊を蹴散らす女武者シズ。それは戦国時代をイメージして設定された戦闘プログラム。訓練の最中、シズはデュオに相談を持ちかけられる。俺とマトリックスに戻らないかと。

「ワールド・レコード」
特別な人間だけがマトリックスの存在に気付く。その存在を知るには例外的な直観と感受性、強い猜疑心が必要だ。だが、ごく稀に全く別の手段でそれを知る者もいる。短距離走の世界記録保持者であるダン。その世界記録に疑惑を持たれながらも、走ることに生きがいを見出していたダンは再び世界陸上のスタートラインに立つ。しかし監視していたエージェントはダンから不安定な信号が発せられていることを察知し、彼を目覚めさせないように修正を試みようとするのだが。

「ビヨンド」
仮想世界の日本。下町に住む陽子は、いなくなった飼い猫ユキを探し始める。その最中に出会った子供達が案内した場所は、「お化け屋敷」と呼ばれる立ち入り禁止の古びた建物。その建物に足を踏み入れた陽子は不思議な光景を目にする。

「ディテクティブ・ストーリー」
しがない探偵のアッシュは正体不明の人物から謎のハッカー、トリニティを探して欲しいという依頼を受ける。捜査を進めていくアッシュだったが、自分と同じ依頼を受けた幾人もの探偵たちが皆、何らかの異状をきたしたことを知る。自殺、行方不明、発狂。ネットワークを介してトリニティとコンタクトを取ることに成功したアッシュは、与えられたヒントを手がかりにトリニティとの接触を試みるのだが。

「マトリキュレーテッド」
機械によって支配された現実世界。海に浮かぶ島でマシンと戦う人間達の砦があった。彼らはマシンを生け捕りにして人類側に寝返らせるように再プログラミングしてマシンと戦う集団だった。今回もまんまとマシンをおびき寄せて生け捕りに成功するが…


うわ。あらすじだけでとんでもなく長くなっちまったぜ。仕方ないか。9編もあるし。つ〜ワケで感想は手短に。決してずいぶん前に観たから、内容を忘れてるワケじゃないわよ!←ウソくさい

9編からなるオムニバスですが一話が10分程度なので、一気に観られる。ま、監督や脚本、キャラクター・デザインが作品ごとに違うので好き嫌いは分かれるでしょうし、全編良い出来とは言い難いが、それぞれ短いながらも奥深いストーリーで見応えアリ。KORO的には「ディテクティブ・ストーリー」が好きですわ。モノクロの色調とハードボイルドな内容がヨカです。神宮寺シリーズが好きなもんですから。

日本のトップ・クリエイター達が多数、参加して作られた当作品。オ○ク兄弟の夢が叶ったということか。脚本に関してはそれほど素晴らしいとは思わなかったし、音楽も特筆するほど印象には残ってないが、ヴィジュアル・センスが非常に素晴らしい。「キッズ・ストーリー」後半のスピード感溢れる展開、「ビヨンド」の不思議な浮遊感、「ディテクティブ・ストーリー」の渋い探偵物語。アメコミ調で極端に筋肉の動きを強調した「ワールド・レコード」は個性的すぎる絵でKORO的にはいまいち受け付けないが。それと「マトリキュレーテッド」だけは激しくツマランかったデス。再鑑賞した際に「あれ、こんな話あったっけ?あぁ、あの映像的にも内容的にもツマラン作品か」というカンジで全然、印象に残ってなかった作品。

本編と直結した作りになっている「ファイナル・フライト・オブ・ザ・オシリス」、「セカンド・ルネッサンス パート1&2」そして「キッズ・ストーリー」を観るとより一層、「マトリックス リローデッド」が楽しめるようになっております。今さら情報ですけどね。ま、リローデッドを再鑑賞する際の参考にでもなさってクダサイ。
2003年/アメリカ/90分/監督:アンディー・ジョーンズ・前田真宏、他
THE ANIMATRIX
2009.03.08記

「レッド・クイーンを捜せ」
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