俺たちに明日はない

明日なき青春。

不況の波が吹き荒れた1930年代のアメリカに実在した男女2人組の強盗、ボニーとクライドの凄絶な生き方を描いたアメリカン・ニュー・シネマの先駆的作品。

ケチな自動車泥棒のクライド(ウォーレン・ベイティ)は鼻っ柱の強いウェイトレスのボニー(フェイ・ダナウェイ)と運命的な出会いを果たす。ボニーはクライドの反社会的な振る舞いと伊達男ぶりに惹かれ、クライドも彼女の気の強さに惚れこんでしまう。2人ならば怖いものなしとばかりに、コンビを組んで強盗稼業に精を出すボニーとクライド。まるでゲーム感覚のように強盗を楽しむ2人。はじめは小さな物盗りで満足していた2人だが、次第にスリルと興奮にとり憑かれるように犯行をエスカレートさせていく。遂には強盗殺人まで犯すように。順調な強盗稼業だったが、クライドの兄バック(ジーン・ハックマン)と妻のブランチ(エステル・パーソンズ)が仲間に加わったことから、徐々に歯車が狂い始める。


強盗という犯罪を行っているにも関わらず2人はかなりあっけらかん、楽しそうに犯行を重ねていきマス。「ナチュラル・ボーン・キラーズ」の原型といわれているとか、いないとか。ミー的には異論。「ナチュラル・ボーン・キラーズ」はKORO的に「もう二度と観たくない映画リスト」の上位ですから。胸糞悪いったら、ありゃしねぇ。観たあとに吐き気しか残らねぇよ。映像の暴力だよ。あら、ヤダ。KOROちゃん、胸糞悪いだなんて、はしたない。とにかく。全然違うよ!第一オシャレ度が違うぞ!←そこかよ。ボニーのベレー帽なんて何千という候補の中から吟味したらしいぞ。クライドだって洒落もんだぞ。

フェイ・ダナウェイ、いいね。彼女がとてもいい。ミーは鼻っ柱の強いべっぴんさんが大好きなんだよ。彼女のモガぶりにうっとり。ウォーレン・ベイティも輝くばかりの色男でヨロシイ。刑務所を出たばかりとは思えない白のパナマ帽がキマッてましたよ。そんな2人が出会っちゃい、はじめはケチな泥棒だったのがあれよあれよという間に立派な連続強盗殺人犯。ボニーとクライドの2人の屈託ない笑顔を見てると青春を謳歌してる若者なんだなぁと思ったり。やってることは強盗だけど。

明らかに法を犯してる2人ですが、市井の人にはなるべく手出しをしないし、その巧妙な手口から人気者だったりするわけ。全然屈折してないし、あまりにも生き生きと強盗しちゃうから妙に共感しちゃったり。ボニーとクライドが愛し合ってはいるけど、なかなか○○○ないのも切ないね。ボニーが小さな夢を語るトコもいじらしくてイイ。ラストは何度観ても衝撃的。判っちゃいるけど、2人に共感覚えちゃってるから胸を突かれる。全編を彩る軽妙な音楽も2人が追い詰められていく終盤になるにつれ、物悲しく聴こえてくる。邦題も名訳。2人の生き様を見事に表わしてる。

乾いた殺人描写。ぎこちない会話のリアルさ。2人の行く末を予言するかのようなボニーの詩。彼らが望んだのは駆け抜けることではなく、立ち止まること。安住の地を見つけること。ラスト直前の2人の表情が目に焼きついて離れない。
1967年/アメリカ/112分/監督:アーサー・ペン
BONNIE AND CLYDE

「クライドは実は×××らしい」
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