依頼人

ある男の自殺現場を目撃してしまったことから、事件の真相を探る検事とマフィアに追われる羽目になった少年がたった1ドルの報酬で雇った女弁護士と共に戦うヒューマン・サスペンス

11歳の少年マーク(ブラッド・レンフロ)は、ある日、8歳の弟リッキー(デヴィッド・スペック)と共にいつものように近くの森にタバコを吸いに行く。しかし、そこで2人は偶然にもある男の自殺現場を目撃する。恐怖でパニック状態のリッキーの制止もよそに自殺を防ごうとしたマークは男に気づかれてしまい、危うく自殺の道連れにされそうになる。男はマークにマフィアに殺された上院議員の死体の隠し場所を告げる。隙をついて逃げる2人だったが、追ってきた男がピストル自殺を遂げるのを見てしまう。リッキーはショック状態に陥り、入院。一方、マークは警察の事情聴取を受けるが固く口を閉ざす。話せばきっと命を狙われる。事件を知ったマフィアはすでにマークの命を狙い始めていた。警察に任せているだけでは自分の命どころか家族さえも危ないと感じたマークは、全財産の1ドルで女弁護士レジー・ラブ(スーザン・サランドン)を雇う。初めは反発しながらも次第に心を通わせていく2人。辣腕の検事と執拗にマークを消そうと狙うマフィアに2人は力を合わせ、立ち向かっていく。


原作はジョン・グリシャム。同じグリシャム原作の「ペリカン文書」や「ザ・ファーム」と比べるとキャストもストーリーも地味だけど、実は一番気に入ってマス。なんといってもエンディングのほんわか暖かい気分になれるとこが好き。え?ホントよ?たまにはミーだってほんわか気分を味わっちゃうことだってあるんだから。エロとかグロとかB級だけが好きなワケじゃないわよ。失礼ね。まぁ、それはともかく。

レジー・ラブは離婚訴訟に敗れ、子供を夫に奪われたという過去アリの女性。夫の不誠実に悩んでアル中に陥り、それが元で子供まで夫に奪われてしまうというつらい経験から這い上がってきた女性をスーザン・サランドンが滋味溢れる演技で演じてマス。失ってしまった子供の面影をマークに見出して思わず肩入れしてしまう心情っていうか。デモ、ストーリー後半になるとレジーとマークの関係は擬似親子っていうより、擬似恋人ってカンジ。いやらしい意味じゃなく、対等に接しているという意味で。マークは中途半端に頭良くて、妙に頑固な可愛げのないおこちゃまだけど、なんか憎めない。そしてそんなマークを時々小憎たらしいと思いながらも、損得抜きで助けようとするレジー。ちょっと泣きましたよ。おばちゃんだけど大好きだよ、サランドン。

検事役のトミー・リー・ジョーンズもイイ。辣腕だけど傲慢で、それでいてちょっとお茶目なロイ・フォルトリッグ検事を見事に表現してるかと。気に入ってるシーンは記者会見の為にメークしてるところ。演技派2人が共演してるケド、火花散る演技合戦というよりはお互いを認め合った余裕ある対決ってカンジで観ているこちらも安心して楽しめる。

ラストのどこか淋しげだけど、慈愛に満ちたレジーの表情がいい。派手ではありませんが、非常に味わい深い作品。
1994年/アメリカ/121分/監督:ジョエル・シューマカー
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「レッド・ツェッペリン」
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