狼たちの午後

暑い夏の昼下り。全米の注視をうけて演じられた。あまりにも突飛な事件…だがそれはまぎれもない事実だった!

綿密な計画も立てず無鉄砲に銀行強盗を企てた2人の男。結果、銀行に篭城せざるをえなくなるがやがて犯人と人質の間に奇妙な連帯感が芽生え…。1972年に実際に起きた事件を題材にした社会派ドラマ。

1972年8月22日。ニューヨーク。焼けつくような日差しが容赦なく照りつける昼下がり。ブルックリン三番街のチェイス・マンハッタン銀行に3人組の強盗が押し入った。しかし、直後に強盗犯の1人がおじけづき逃げ出してしまう。主犯格のソニー(アル・パチーノ)とサル(ジョン・カザール)にとって、それ以上に予想外だったのは、現金は既に本店に輸送された後で金庫は空っぽだったこと。残された1,000ドルぽっちの金を前に途方に暮れるソニーの元へ警察から電話が入る。銀行は完全に包囲されている、武器を捨てて投降しろと。こんなはずじゃなかった。ものの10分もあれば大金をせしめて現ナマうはうは生活のはずだった。大勢の警官とFBI捜査官の大包囲網の中に加えてマスコミや野次馬も大挙して押しかけ、袋のねずみ状態。

追いつめられた2人は銀行員9人を人質に取り、立て篭もる。モレッティ刑事(チャールズ・ダーニング)は交渉人を買って出て、必死の説得を行うが時間は無駄に流れていくばかり。それどころか事件が大々的に報道されたことでソニーとサルは群衆たちから英雄視され始めたのだ。やがて銀行内では犯人と人質たちとの間に奇妙な連帯感のようなものが生じだす。夜の闇が押し寄せても、うだるような暑さは続き、狂気のような時間が過ぎていく。長引く篭城。やがて打つ手がなくなったソニーは警察側にある要求をつきつけるが…


アル・パチーノが若い!二枚目!ハジケてる!アカデミー賞の脚本賞を受賞したそうですが、鑑賞した当時は立派におこちゃまだったので脚本の巧みさなんて全く理解出来ず。ただただアル・パチーノ観たさのみ。パチーノ萌えなおこちゃまでしたから。…カワイゲのないコドモだったなぁ。まぁパチーノを拝みたい一心で観たワケだが、まるで銀行を取り囲む野次馬の一人になったかのような気分で見入ってしまった。うだるような暑さ。昼下がりに突然、襲われる銀行。畳み掛けるような展開。そんな緊張感溢れる中でオマヌケなことを連発する銀行強盗犯。なんなんだコイツら!無計画にもほどがある。ご利用は計画的に。

実際に1972年にアメリカで起きた事件の映画化だそうです。しかも、かなり忠実に描いているらしい。ソニーの犯行動機は愛人に○○○手術を受けさせてあげたかったからだとか。あんれまぁ!妻子がありながら、実は○○だったのか。サルのパーソナリティは劇中であまり語られないんだけど、ソニーとサルがある相談をする時のシーンがいい。少ない台詞でサルの生い立ちが垣間見えるというか。演じるジョン・カザールがこれまたイイ。神経過敏で、いかにも神経質そうなサルがどんな理由で強盗に加担したのかは不明だけど、篭城が長引くにつれて徐々に神経が磨り減っていくのが手に取るように判る。もうギリギリのラインで踏ん張ってる。

序盤は割りとジョーク連発なんだけど、ラストはなんともやりきれない。ツイてない男は、とことんツイてないんだなぁ。ナニをやってもうまくいかない男がさらに深みにはまっていくサマを見つめるのは、かなり辛かった。無責任に騒ぎ立てる群衆。けれどソニーが○○○○となると途端に冷たくなる人々。鑑賞後、全く感動とか爽快感はありマセン。けれど思い出すたびに熱いものがこみ上げてくる作品。決してパチーノ萌えだからというだけではナイですヨ。あ、ソニーの嫁。実際の嫁もあんなに聞く耳持たないデブなのか?そりゃ○○○に走るわ。
1975年/アメリカ/125分/監督:シドニー・ルメット
DOG DAY AFTERNOON

「ワイオミング」
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