この家の少女に想像を絶する何かが起きている!すべてを託された男(エクソシスト)の生命を賭けた闘いがいま始る!
イラクでの古代遺跡発掘調査に携わっていたアメリカの古生物学者でカトリックの神学者でもあるメリン神父(マックス・フォン・シドー)は、悪霊バスズの偶像を発見する。それはかつてメリン神父が死闘を繰り広げた悪霊であった。メリン神父はいま再び邪悪な宿敵、パズズとの決戦が近づいていることを予感する。一方、ワシントンのジョージタウン。ロケのため借家住まいをしている女優クリス(エレン・バースタイン)の一人娘であるリーガン(リンダ・ブレア)の身に恐るべき異変が。その顔は醜く歪み、邪悪で恫喝的な響きを漂わせた恐ろしい声音で卑猥な言葉を吐くリーガン。彼女の身を案じたクリスは病院で検査を受けさせるが、異常は見出せなかった。しかし日増しにリーガンの症状は悪化し、やがて家そのものにも異変が生じだす。
藁にもすがる思いでカラス神父(ジェイソン・ミラー)に助けを求めるクリス。リーガンの様子を見て、悪魔が取り憑いたとしか考えられない神父は教会に悪魔祓いを要請。悪魔祓いの数少ない経験者であるメリン神父が駆けつけ、壮絶な悪魔祓いが開始されることになるが。
公開時失神者が続出し、大きな反響を呼んだオカルト映画の古典。1973年公開だけど今でも「一番怖い映画」ランキングなどで必ず上位に入る作品デス。悪魔に取り憑かれた少女、リーガンの首がぐるっと回ったり、少女とは思えないおどろおどろしい声で悪魔祓いを行っている神父に悪態をつくとこなど正にオカルトですよ。実に恐ろしやですよ。けれどこの作品。オカルトではなくて実は文芸作品なんですよ、アナタ!
意外と悪魔祓いのシーンはあっさり描かれていて、リーガンと母親の関係や後にメリン神父と共にリーガンの悪魔祓いをすることになるカラス神父の苦悩などが実に丁寧に描かれています。神父は悪魔祓いの儀式をしながらも、悪魔はホントにいるのだろうかと悩んでたりしてるのです。瞳に悲哀が満ちている。苦悩している。少女を助けたい。だが聖職者でありながらキリスト教の教えに疑問を感じ、常に心のうちで自問自答している。神に対する信仰心を試されているのか。人間としての困難に屈しない意志の力を試されているのか。
ミーはキリスト教にさして造詣が深いワケではないので、ホントの意味でのカラス神父の聖職者であるという葛藤とか苦悩とかは理解出来てないワケですが。しかし、この作品は悪魔に取り憑かれた少女の物語というよりも1人の聖職者の苦悩を描いた作品なのかなぁと思ったり。
映像も美しい。悪魔祓いのためにクリス家を訪れたメリン神父が家の前で佇む姿がなんとも印象的。そして意外にも阿鼻叫喚なシーンはほとんどなかったりする。パズズと対決するシーンでさえ、研ぎ澄まされた静かさが漂っていた。この作品と同じくオカルト映画の名作である「オーメン」に通ずる静謐さが感じられた。
幼少の頃に観た時はリーガンの物凄い形相や緑のゲ○吐きシーンばかりが印象に残ってて、ホラー作品という認識しかなかったけれど大人になって再見したら、あら大変。素晴らしく文芸作品じゃないですか!恐ろしいというよりは悲しい作品じゃないですか!素晴らしいッ。デモ、リーガンを演じるリンダ・ブレアがちっとも可愛くないのは減点。キレイなお姉ちゃん好きですから。
1973年/アメリカ/121分/監督:ウィリアム・フリードキン
THE EXORCIST