詩人・無法者(アウトロー)・映画スター・革命家・放浪者・ロックスター 全てボブ・ディラン 6人の豪華キャストが演じる、生ける伝説
1962年のデビュー以来、今なお多くのミュージシャンに影響を与える吟遊詩人ボブ・ディラン。彼のさまざまな人格を投影した6人の“ディラン”。それぞれ名前も異なる6人のディランが織り成す6つの物語。
「何故、プロテスト・ソングを書くのをやめたのか」と尋問する男たちに答える形で語り部をつとめる、自らをアルチュール・ランボーと名乗る青年(ベン・ウィショー)。
「ファシストを殺すマシン」と書かれたギターケースを抱え、貨物列車に乗り込む黒人少年(マーカス・カール・フランクリン)。先に乗り込んでいた2人の老人にこれまでの半生を語る少年。ウディ・ガスリーと名乗ったその11歳の少年が語るその過去は彼の年齢を考えると明らかに辻褄が合わなかった。
1960年代前半。ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジを拠点に盛り上がりを見せていたプロテスト・フォーク。その音楽シーンに1人の新人が現れ、喝采を集める。ジャック・ロリンズ(クリスチャン・ベイル)は“新しい時代の声”としてシーンの中心的存在となっていくが…
ベトナム戦争が激化した1965年。伝説のフォーク・シンガー、ジャック・ロリンズを題材にした伝記映画で主役を務めた新人俳優のロビー(ヒース・レジャー)は画家を目指すフランス人のクレア(シャルロット・ゲンズブール)と出会い、たちまち恋に落ち結婚する。しかしロビーが俳優として成功を収め、クレアが2人の娘の子育てに追われるうちに結婚生活は徐々に破綻をきたしていく。そして1973年。アメリカ軍がベトナム戦争から完全撤退したというニュースをみたクレアは、ある決心をする。
1965年。ロックン・ロールバンドをしたがえてフォーク・フェスティバルに出演したジュード・クィン(ケイト・ブランシェット)は、かつてのフォーク・ソングを期待していた観客から激しいブーイングを受ける。記者会見でのくだらない質問。ジャーナリストのジョーンズ(ブルース・グリーンウッド)の執拗なインタヴュー。そんな毎日に疲れ、自らの音楽の新たな方向性に疑念を抱きながら、ドラッグに溺れるジュード。ドラッグ濫用による睡眠不足、誰からも理解されない孤独、荒れ果てた生活でジュードの精神と身体は蝕まれていく…
西部開拓時代。リドルという町で厭世的な隠居生活を送るビリー(リチャード・ギア)。ある日、町の住民からハイウェイ建設のため、30日以内の立ち退き命令が下っていることを聞かされる。住む家を追われ、自殺者まで出たと聞いた彼は詳しいことを突き止めるために町の中心部へと向かうが…
ひぃぃ〜。忘れるぅ〜。脳から記憶がこぼれ落ちていく〜。えぇ、実は1人で劇場鑑賞してまいりマシタ。1人で観に行くと、うっかりしっかり内容を劇場に置き忘れてしまう体質というのに観に行きマシタよ。ボブ・ディラン世代ではないので正直、彼の色んな側面を描いたというトコに興味を引かれたワケでもないのに。三度の飯よりB級好きのミーが求めるテイストとは明らかに違う作品と思われるのに。
因みに当日の観客はレディース・デイのせいか全て女性。しかもほぼ全員、1人で観に来てる。そしていかにもオサレ映画がお好みそうな雰囲気を醸し出したお姉さんばかり。明らかにミーだけ浮いてマシタ。上映時間が夕飯時だったのでホットドッグとフライドポテトをワシワシ食べながら観たワケですが、そんな腹ペコキッズはミーだけでした。前の席にいたオサレなお姉さんはスコーンなどお召し上がりデシタ。食いもんまでオサレだ。ついでに周りが人がいないのをいいことに、靴を脱いで体操座りして鑑賞してたのもミーだけかと思われる。そんな場違いな空気満載な作品を何故観たか?ですって?
はい、全てはケイト・ブランシェットが拝みたいがために。ただそれだけですよ!どんだけ好きなんだ。彼女の冷たさと熱情を併せ持った眼差しを愛しているのデス。ハスキーな声も愛しているのです。「バンディッツ」の歌声はなんじゃこりゃでしたケド。まぁ、そんなことはおいといて。
なんつ〜か。感想が書きづらい作品だな。6人の俳優がボブ・ディランを演じているというのは知ってたが、なんなんだよ。オムニバスじゃないし。時代の流れも無視した構成だし。ベン・ウィショーはいらんような気がするし。語り部のようだが、はっきり言って何を言ってるのかこれっぽっちも理解出来マセン。ボブ・ディランはある時期アルチュール・ランボーに傾倒していたらしい。ボブ・ディランのファンだったら判るのかなぁ。あ、リチャード・ギアのエピソードもいらんような。エラい時代錯誤な町に住んでるなぁ〜、ここは「ヴィレッジ」みたいなとこなのか?と悩んでたら、ホンマもんの西部開拓時代なのかよ。聞いてない。
ボブ・ディランの音楽、彼が生きてきた時代、60〜70年代のアメリカをリアルタイムに知っている世代なら、もっと理解出来る作品なのかな。あの時代の空気というか。しかし、監督のトッド・ヘインズはデヴィッド・ボウイをイメージした「ベルベット・ゴールドマイン」を撮った人。つくづくあの頃の音楽や文化が好きなんだろうな。
実験映画という体裁をとっているせいか、時々不思議映像が登場。大天使ガブリエルのシーンとか。正直、チャチだなと感じたのだが、それは間違いなのかもしれない。60〜70年代のアメリカ的表現とでもいったらいいのでしょうか?サブカルチャーなカンジ?スンマセン、適当な語彙が見つからん。70年代はオンタイムぢゃないっすから。
とにかく。ケイト・ブランシェットが拝めたからいいのよ!男性でも女性でもなく、中性的魅力に溢れた彼女に釘付けですよ。クリスチャン・ベイルとヒース・レジャー演じるパートもそれぞれ演技も上手いし、なかなか魅力的なエピソードだったけど、彼女が演じるジュードのパートがやはり一番面白かった。ボブ・ディランが最もハジケてた頃を演じてたせいかもしれませんが。それと少年ウディのパートもよい。おっさんと3人でギターセッションするシーンのグルーヴ感がたまりマセンでした。
ボブ・ディランのファンでなくても、どこかで必ず聴いたことがある名曲がてんこ盛りなこの作品。内容は判りづらいというのが正直な感想だけど、数々の名曲が流れる中で繰り広げられる色んなボブ・ディランの物語。理解は充分出来たとはいえないが鑑賞後、なんとなくボブ・ディランという人物が見えてきたような。
2007年/アメリカ/136分/監督:トッド・ヘインズ
I'M NOT THERE
2008.06.19記