L.A.コンフィデンシャル

1人の女、ひとつの真実…男たち、野獣の輝き

ギャングの縄張り争いが日々繰り広げられる50年代のロス。コーヒーショップで元刑事を含む男女6人が惨殺される事件が発生。殺された元刑事の相棒だったバド(ラッセル・クロウ)は捜査を開始する。殺された女性と前日一緒だったリン(キム・ベイシンガー)に接近するバド。彼女は映画スターに顔を似せた女を集めた高級娼婦組織の1人だった。

同じ頃、ベテラン刑事のジャック(ケヴィン・スペイシー)はバドとはちがう理由でリンの組織を探っていた。そして野心家の新米刑事エド(ガイ・ピアース)も“ナイトアウルの惨劇”と呼ばれたコーヒーショップの惨殺事件をバドとはちがったやり方で追っていた。エドが容疑者を射殺、事件は解決したかに思えたが、彼ら3人を待っていたのは底なしの陰謀だった…


ずいぶん前から面白いという評判は聞いていたのですが、観始めてすぐに納得。こりゃオモロイわ。直情的で女に暴力を振るう男を異常なまでに憎むバド。TVの刑事ドラマの顧問を担当し、三流ゴシップ雑誌と組んでは小銭を稼ぐジャック。正義感とそして野心に燃える新米のエド。それぞれの個性がとても丁寧に描かれていて素晴らしい。

なんでも原作のジェームズ・エルロイの小説を映画化するのは非常に困難といわれたそうですが、「激流」や「ゆりかごを揺らす手」を撮った監督なだけあって見事な作品に仕上げておりマス。ただ、この監督非常にうまいと思うのですが、どの作品もこぢんまり感があるのが難点。手堅くまとめすぎなのか?この作品もせっかくの豪華なキャスト、凝ったセットなのにゴージャス感が薄いカンジの作品になってしまってるような?いつも安心して観られる監督だけど、アメージングに欠ける気がするのよねぇ。豪華三段重ね弁当じゃなくて幕の内弁当っていうか。まぁ、網焼き牛タン弁当とかシウマイ弁当とかはおいといて。とにかくしっかり観ていないと何がなんだか判んなくなるほど凝ったストーリーに久々に全神経集中して観た作品ではあった。

ジャックのあの一言には心底、震えたねぇ!そしてエドがある人が発した一言で全てを悟るシーンも鳥肌モノ。台詞の一つ一つにしっかり伏線があるので聞き漏らしたら大変デスよ。ご老体には辛いデスよ。DVDでじっくりしっかり観るのに適した作品。

キム・ベイシンガーがアカデミー助演女優賞を獲得したワケですが、ミーの個人的な意見としてはリン役はもっと若い女優さんに演じて欲しかったというのが正直なトコロ。やや年を取っちゃいるが、キム・ベイシンガーは確かに美しい。しかし、まだまだ若くてピチピチのラッセル・クロウやガイ・ピアースと並ぶと悲しいくらいにおばちゃんにしか見えない。妙に口元やおでこのシワが気になった。最初の白いマント姿の時はなんて妖艶なんだろうと思ったんですケド、昼間のシーンはキツイ。もうちょっとキレイに撮ってやってくれよ。

そうそう。いつもはどの映画に出てもデヴィート、デヴィートしてるダニー・デヴィートが当作品ではかなり役にハマってて、終盤になるまで彼とは気付かなかった。いつものデヴィートですよパワー全開だったら、それだけでコメディになっちゃって作品のイメージ壊しちゃうけど。

見応えあるサスペンス&ミステリーに満ちた作品でした。
1997年/アメリカ/138分/監督:カーティス・ハンソン
L.A. CONFIDENTIAL

「エド、バド、シド、登場人物の名前が似すぎでマイッチング」
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