ヴィレッジ

その“地上の楽園”は、奇妙な“掟”に縛られていた…。何故?

周囲から隔絶された小さな村に秘められた禁断の真実を描くミステリー。

1897年のペンシルヴァニア州。深い森に囲まれ、外の世界からは完全に孤立した小さな村があった。人々は自給自足の生活を営み、理想郷のような共同体を築いていた。だが、この村には決して森に入ってはならないという掟があり、村人は森に住む怪物を恐れて境界線を張り、暮らしていた。掟を守る限り、森に住む怪物が村の平和を破ることはないと。

しかし、ある日盲目の少女アイヴィー(ブライス・ダラス・ハワード)に恋するノア(エイドリアン・ブロディ)が嫉妬心からアイヴィーの恋人ルシアス(ホアキン・フェニックス)を刺してしまったことから、村の静かな暮らしは終わりを告げる。アイヴィーは瀕死のルシアスを救う医薬品を手に入れるため、村を出る決心をし、禁断の森へと足を踏み入れるが…


出たッ!シャマランマジック!真摯な態度でとんでも映画を作る彼に脱帽ですよ。もう頭が下がりますよ。そして作品を重ねるごとに自作への出演時間が増えていく彼になんだかなぁ気分満載ですよ。ヒッチコックみたいにチラリズムでお願いしたい、そうしたい。もうミステリーとかスリラーとかジャンルを越えてシャマラン映画ですねぇ。え?褒めてるつもりですよ?

「シックス・センス」が良くも悪くも彼の一番のヒット作であり、シャマランといえば「シックス・センス」なんでしょうが、そういうのはおいといて。愛の物語として観れば充分に泣ける作品ではないかと。大切な人を守るために深い森の中でひっそり暮らし、大切な人を助けるために掟を破って禁断の森に入り、大切な人を想うあまりに他人を傷つけてしまう。愛なんですよ、愛。

ルシアス役のホアキンの抑えた演技が素晴らしい。アイヴィー役のブライス・ダラス・ハワードも見事。2人の純なロマンスぶりにロマンス不感症のミーの涙腺が久々に緩みましたよ。エイドリアン・ブロディも精神的に危ういノアを上手く演じてたと思う。ノアがルシアスを刺すシーンがコワい。無言でグサッ。も一つおまけにグサッ。観客を驚かすためだけに大音響を必要以上に轟かすシャマランなのに、このシーンは無音かよ。逆に驚いたわッ。ハァハァ。ケド、やっぱり普通の青年ルシアスが一番演じてて難しいんじゃないかなぁ。まぁホアキンが中年太り気味なので青年役はちょいムリっぽい気もしたけど。シガニー・ウィーバーと親子役というのも、え?なカンジ。

しかし、やっぱりシャマラン映画。タダの愛の物語では終われないワケで。大どんでん返しとか、とんでもラストがどうしても必要みたいで。そしてあのラスト。んん〜、まぁ予想はついたけど。色々ツッコミどころありすぎて書き尽くせマセンが、サスペンス作品として観るとオチが少々弱いし、ラストも呆気なさ過ぎる。ミステリーやスリラーとして観ると、期待外れは否めません。ただKORO的にはルシアスがアイヴィーに愛を告白するシーンの夜の静謐な美しさにうっとりしたので可。ルシアスの言葉ひとつひとつにアイヴィーに対する抑えきれない想いがこもっているのが良かった。慎ましい言葉ながらも、どれだけ相手を想っているかというのが伝わってきてジ〜〜〜ン。それだけで満足。愛なんですよ、愛ッ。
2004年/アメリカ/108分/監督:M・ナイト・シャマラン
THE VILLAGE
2008.01.14記

「赤は不吉な色」
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