ウォッチメン

知ってはならない、真実がある──。

1980年代後半に発表されたアメリカの人気グラフィック・ノベルを驚異のビジュアルで実写映画化。歴史の裏に隠された真実を暴く衝撃のリアル・ミステリー。

ジョン・F・ケネディ暗殺事件、ベトナム戦争、キューバ危機。かつて世界を揺るがせた数々の大事件の陰には“監視者”と呼ばれる者の存在があった。彼らは“ウォッチメン”と呼ばれ、人々を見守り続けてきたはずだった。しかし1977年に政府が施行したキーン条例によりその活動は禁止され、ある者は引退し、ある者は姿を消し、ある者は密かに活動を続けていた。

ニクソン大統領が未だ政権を握り、ソ連との一触即発の緊張関係が続いている1985年のアメリカ。ニューヨークでエドワード・ブレイク(ジェフリー・ディーン・モーガン)という男が高層マンションから突き落とされ、殺害された。その死体のそばには血の付いたスマイルバッジが落ちていた。スマイルバッジは、かつてウォッチメンの一人である“コメディアン”がトレードマークとしていたもの。現場に現われた“顔のない男”ロールシャッハ(ジャッキー・アール・ヘイリー)は、ブレイク殺害をヒーロー狩りの第一段階だという仮説を立て、ただちに“ウォッチメン”と呼ばれたかつての仲間たちの周辺を独自に調べ始める。

ナイトオウル二世として活躍し、今は世間から身を隠すように生きるダン・ドライバーグ(パトリック・ウィルソン)、いち早くヒーローから引退し、自身の正体を公表して今や大企業の社長であるオジマンディアスことエイドリアン・ヴェイト(マシュー・グード)、あらゆる原子を自在に操る能力を持ちソ連への抑止力、国防の要として今もヒーローとしての活動が許されているDr.マンハッタンことジョン・オスターマン(ビリー・クラダップ)、その恋人である二代目シルクスペクターとして活躍したローレル・ジェーン・ジュスペクツィク(マリン・アッカーマン)。彼らの元を訪ね、警告を発するロールシャッハ。

何故、ウォッチメンが狙われるのか。一体、何が目的なのか。ウォッチメンを見張るのは誰なのか。


映像がスゴいことになってマシタ。早回しとスローを巧みに織り交ぜたアクションが痛快でした。終わり。え〜と。おこちゃまの映画感想文かよ。だって、あらすじを書くだけで疲れたし。実在の事件に関わってきたヒーローの存在を描いているワケですが、こりゃ1940年代辺りからの歴史、特にアメリカの歴史をしっかり知ってないとストーリーを把握するのはかなり困難だねと思った。実際、鑑賞した時に20代前半のカポーがいたワケですが、彼らからは傍で見てても「ワケわからん」オーラがぷんぷん発散されておりマシタよ。ニクソンが政権を握り続けている1980年代という設定に何も感じなかったんではないかと。まぁ、ミーもそんなにしっかりお勉強しているワケではないのでエラそうなコトは言えませんが、「大統領の陰謀」を観たおかげでニクソンのことや前後のアメリカの状況などはかなり調べたりしたので、ウォッチメンの世界観はなんとなくながら理解出来ましたよ。

ストーリー展開はかなり複雑なので、しっかり観ていないと途端にワケが判らない状態になる。40年にも及ぶウォッチメンの歴史。それをなぞっていくロールシャッハの手記という形で展開されていくワケですが。ロールシャッハに一言、申したい。もう少し簡潔にしてくれ。アンタが狂気に陥り、ウォルター・コバックスではなくロールシャッハそのものになってしまった経緯なんてバッサリ削ってくれていいよ。ついでにDr.マンハッタンとローリーの変態プレイシーンもいらねぇ。クド過ぎる。

それにしてもDr.マンハッタンは何故、終始フルチンなのだ。原作コミックには理由が書いてあるのか。この作品がR-15指定になってるのは残酷すぎるシーンがあるためじゃなく、Dr.マンハッタンの股間が立派過ぎるせいじゃねぇのか疑惑大発生。核実験に巻き込まれたにも関わらず、自力で身体を再構成して復活した世界唯一の超人の彼ですが、原子を操作出来る能力を得た代わりに人間らしい羞恥心は忘れ去ってしまったのか。たまに申し訳程度に前貼りを付けてましたが、その前貼りがワンダーウーマンの髪飾りを借りてきたのかと思うような形状でしたヨ。アメリカのヒーローは助け合い精神に溢れてるな←違

冒頭のブレイク殺害シーンはスピード感に溢れたアクションぶりなので楽しめた。デモ、予告で何回も観たぞ。もっともっとスゲェやつを見せてくれ!と思ったが、その後はロールシャッハのクドい回想になるので正直ダレる。内容を把握するのに必死で眠くもならなかったし、「長いな〜」とも思わなかったが、ミーはアクション大好き人間なので「早く超絶アクションを見せてくれ」と思ったのが正直なトコロ。ダンとローリーが街角でチンピラどもに襲われるシーンや刑務所襲撃シーンは堪能。

しかし、ウォッチメン達はどうしてあんなに強いのかワカラン。Dr.マンハッタンの能力は説明があったし、オジマンディアスの特殊能力も少々、説明があったので納得は出来るが、ダンやローリーが強いのは何故だ。しかもローリーは母親からシルクスペクターを受け継いでいるぞ。ヒーロー体質は世襲制なのかよ。遺伝子の為せる業なのかよ。この辺りって原作を読んでいれば判るのかしら?映画を観て非常に原作に興味が湧いたので購入しようかと思ったが、お値段3,400円。高ッ。映画が3回観れちゃうよ。ミーはレイトでしか観ませんから。しかし読んでみたい。

すっきり爽快!能天気に楽しめるアクションを期待して観ると、かなり裏切られる内容ではありますが従来のヒーローものとは一線を画した展開に唸ったのは事実。エンディングも全くカタルシスは得られなかったが、だからといって憤慨したワケではない。ウォッチメンの一人が暗殺された。一体誰が、何の目的で?という一見、ミステリー調で進む展開だが、誰が黒幕なのか?ということに重きを置いているワケではなく、ウォッチメンというのはどういう集団なのか、どのような経緯で何をしてきたのかというのが重要だったりする。

スーパーヒーローが実際に存在し、数々の世間を揺るがす事件に関与してきたことで世界の情勢が変わってしまうという、フツーのヒーローものなら避ける展開に真正面からぶつかっていく姿勢に驚いた。既存のヒーローものとは全く趣の違った当作品。エンディングも「そんなのアリかよ」としか言えない強引といいますか、コメントしづらい締め方となっております。アンタ達、ホントにヒーローなのか?なんとも皮肉のキツい作品ではありましたが、概ね満足。BGMがかなりシャレが効いている点もかなり高得点。冒頭で流れるボブ・ディラン。「時代は変わる」ですよ、アナタ!サイモン&ガーファンクルの曲も嬉しかったが、ストーリー終盤でジミ・ヘンドリックスの曲が流れたのには痺れたね。

時代設定については良い点ともいえるし欠点ともいえるし、非常に悩む点。原作が発表されたのは1980年代後半なので、致し方ないが現在となっては冷戦時代の危機をタイムリーに感じ取ることが出来ない。おかげで硬派なテーマを扱っているのに、ストーリー全体にウソくさい雰囲気が漂ってしまっているのが惜しい。ま、原作が発表された当時にはこの作品の実写映画化なんて到底、ムリだったとは思われますが。だからといって現代に置き換えて映像化した方がヨカッタのかと考えるとそれはそれで疑問だけど。
2009年/アメリカ/163分/監督:ザック・スナイダー
WATCHMEN
2009.04.19記

「付け鼻然としたニクソンの鼻にヒイた」
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