8人の女たち

一家の主を殺したのは誰…?

フランスを代表する8人の女優たちが歌って踊る、絢爛豪華かつヘンテコなミュージカル仕立てのミステリー。

1950年代のフランス。雪に閉ざされた大邸宅にクリスマスを祝うために家族が集うことになる。一家の主マルセルの妻ギャビー(カトリーヌ・ドヌーヴ)、足が不自由で車椅子生活のギャビーの母マミー(ダニエル・ダリュー)、ギャビーの娘で大学生のシュゾン(ヴィルジニー・ルドワイヤン)とミステリ小説が大好きな17歳のカトリーヌ(リュディヴィーヌ・サニエ)、ギャビーの妹オーギュスティーヌ(イザベル・ユペール)、マルセルの妹でストリッパーのピエレット(ファニー・アルダン)、そしてメイドのルイーズ(エマニュエル・ベアール)とシャネル(フィルミーヌ・リシャール)。しかしクリスマス当日、ルイーズがマルセルに朝食を届けるために部屋に入ると彼は背中をナイフで刺され、事切れていた。外部から何者かが侵入した形跡はない。電話線は切られ、外は大雪。外部との連絡を断たれた8人の女たちが互いに疑心暗鬼となっていくなか、それぞれの隠されていた事実が次々と明らかになっていく。


これは何かの冗談なのか。見応えがあったといえば、あったような気もするが。ミュージカルなのかミステリーなのか判然としないままにどんどん進むストーリー。フランスを代表する新旧8人の女優たちが大真面目に歌って踊って暴れて口汚く罵る展開に終始、置いてけぼり状態。唖然としてる間にエンディングを迎えてしまう。推理ものと思って観始めたKOROちゃん、びっくり。いきなり歌いだす女優達に口あんぐり。そして会話の中に平然と愛人関係とか近親相姦が出てきてKOROちゃん、さらにびっくり。

気取った女たちがお互いの腹の中を探る内にどんどん下品としか思えないことを口走り、髪の毛を振り乱さんばかりに感情をあらわにしながらも、意外にも上品さが漂っているのは何故だ。ギャビーがマミーのドタマを思いっきりぶん殴るシーンさえ何故か気品が漂ってましたからね←ホントかよ。これがおフランス映画特有の味なのでしょうか。美しい屋敷内部のセットやそれぞれの個性が生かされたしゃれた衣装が大いにその上品な雰囲気に貢献していたとは思うが、一歩間違うとおバカ映画になってしまうところをギリギリのラインでお上品さを留めているのはやっぱり8人の新旧揃ったフランスの名女優の底力なのでしょうか。なんとも不思議な味わいの作品。この作品がミーにとっては初のフランソワ・オゾン監督作品なんだが、「なんだか妙なもん観ちまったな」というのが正直な感想。

しかし。カトリーヌ・ドヌーヴは相変わらずゴージャスな美しさ。確かにやや太ってはいるが当時59歳であの美しさは驚嘆。ファニー・アルダンもドヌーヴとはまた違った魅力の美しさ。KORO的にエマニュエル・ベアールはお好みではないのでスルー。

ラスト近くの○○シーンに至っては理解不能。よくも大女優にあんなことをさせたもんだ。オゾンはどんなマジックを使ったのかと真剣に考えてしもうた。つ〜か展開があまりにドタバタしすぎて結局これは悲劇だったのか、それとも喜劇だったのかも判別出来ないままエンディングを迎えてしまいマシタ。散々、歌いまくって罵り合って推理合戦を繰り広げたのにも関わらず、妙にあっさりとした結末に驚いた。さすがおフランス。トレヴィアン。
2002年/フランス/111分/監督:フランソワ・オゾン
8 FEMMES
2009.03.08記

「一瞬だけ映るロミー・シュナイダーの写真がこれまたとびきり美しい」
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