元祖バットマンのTVシリーズ劇場版。かつてゴッサム・シティを恐怖に陥れたペンギン、キャットウーマン、ジョーカー、リドラーの4人組がバットマン打倒に一致団結。
人間の体内から水分を抜き取り、チリにする機械が発明された。その機械を横取りして世界征服をたくらむ悪人一味。キャット・ウーマン(リー・メリウェザー)、ジョーカー(シーザー・ロメロ)、リドラー(フランク・ゴーシン)、そしてペンギン(バージェス・メレディス)。しかし世界征服を達成するためには、正義の味方バットマン(アダム・ウェスト)と助手のロビン(バート・ワード)が邪魔だ。やるべし!やるべし!やるべし!これぞアメコミ!ポップなアドベンチャー大作!元祖TVシリーズ・バットマンの豪華劇場版ですよ!
すいません、いきなりウソをつきました。ポップでも大作でも豪華でもありません。DVDの裏表紙に書かれてるのをそのまま転記してみました。どこがポップだ!支離滅裂という日本語を英訳するとポップと言うのかッ!アドベンチャー大作ですと〜?アドベンチャーとか大作とかいう言葉が裸足で逃げていくわッ!そして豪華劇場版というのは誇大広告デス。キッチュというと聞こえはいいが、実際は貧相な秘密兵器を次から次へと繰り出すバットマンとロビンに口ぽか〜ん状態ですよ。
デモ、DVD購入。おバカ作品が大好きなのデス。映像特典のメイキングだけ観ると、とても豪華で面白そうな作品に思えてくるから不思議デス。オープニングはかなりカッコイイのですよ。しかし内容はどこまでもおバカかつ、辻褄の合わない展開。まず持ち物になんでもバットとつけるバットマンのネーミングセンスに眩暈さえ覚えマス。バット・カーやバット・コプターはアリかもしれん。バット・ボートも許すよ。しかしバット・ラダーはないだろ、バット・ラダーは。直訳するとコウモリはしご?ご丁寧にもその梯子にはバット・ラダーとデカデカと書かれてた。見れば判るわ。しかもコウモリマークが異常にジャマだ。足ひっかけて落ちそうな勢いでジャマだ。きっと劇中でバットマンが着る白衣はバット白衣と呼んでるにちがいない。
そして正義のヒーロー、バットマンがなんともお間抜け。衣装がヘボイのは製作された年代(1966年)を考えれば仕方がないと思うので文句は言いません。マスクにチョークで書いたようなマユがとってつけたようにあるのも我慢するよ。妙に細い眉毛でオカマちっくにしか見えないのも耐える。しかし、いかんともしがたく詰めが甘いというか、何も考えてないだろとしか思えない行動ぶりはおバカすぎて呆れた。いきなりサメに襲われて足食いつかれるし。デモ、大丈夫♪バット・コプターにはサメ撃退用のバット・スプレーが常備してあるのだ!さぁロビン、バット・スプレーをちゃっちゃと渡してくれたまえ。なんじゃ、サメ撃退用バット・スプレーって!サメに食いつかれるのを織り込み済みで行動しとるのか!他にも爆弾抱えてオロオロウロウロしたりとか。「どの命も犠牲に出来ん」とかカッコイイこと言うケド、あくまでもオロオロ。もっと考えて行動しろッ!ヒーローが困惑してどうする!それと正義の味方がランニングで現場に駆けつけたりしますから。街中を珍妙な衣装で疾走するバットマンとロビン。あんなヒーローはじめて見たよ。
対する悪党4人組もテキトーすぎて本気で世界征服狙ってるのか激しく謎ですが、主人公のバットマンが彼らの上をいくテキトーさなので意外と4人組の方がまともに見えたり。キャット・ウーマンは妙にべらんめえ口調でキレイお姉さん好き魂を打ち震えさせてくれないのは悲しい。お姉さんというよりはおばちゃんだし。
全編ヌルいテンポでピンチの切り抜け方もご都合主義満開。そしてセリフはことごとく間が抜けてるし、ホントにどうしようもないくらいおバカ映画なんですが、そのコントとしか思えないユルい作りが妙にミーのへっぽこ魂に訴えかけるので、散々けなしてる割には実はキライではないです。どっちかというと好きだ。えへ。
元祖TVシリーズの劇場版なのに劇場版バットマンの中でサイコーに異色作。ティム・バートン版とは違い、真っ昼間に堂々とおバカな活躍(?)をするバットマンを鑑賞したい方は是非。
1966年/アメリカ/107分/監督:レスリー・H・マーティンソン
BATMAN
2008.01.25記