ボルサリーノ

フランス映画界きっての2大スターが初めて顔を揃えた本格ギャング映画の決定版!

1930年代のマルセイユを舞台に、2人のギャングの友情と暗黒街でのしあがっていく姿を描く。

数ヶ月ぶりに出所したケチな泥棒のロッコ・シフレディ(アラン・ドロン)は、馴染みの女ローラ(カトリーヌ・ルヴェル)を巡ってチンピラのフランソワ・カペラ(ジャン=ポール・ベルモンド)と喧嘩沙汰になる。だが、その喧嘩をきっかけに友情が芽生えた2人は、コンビを組んでヤクザ稼業に精を出すことに。

そんなある日、リナルディ弁護士(ミシェル・ブーケ)から魚市場を支配しているリナルディの義兄であるエスカルゲルに力を貸すように頼まれた2人。当時、マルセイユを支配しているのはマレロとポリという二大ボス。マレロとリナルディとの繋がりを知ったロッコはフランソワに、マレロとポリ、そして影の実力者であるリナルディを潰してマルセイユを手中にしようという大胆な計画を持ち掛ける。初めはその無謀な提案に反対したフランソワだったが、ポリの情婦のジネット(ニコール・カルファン)に惚れたことから、計画に乗ることにするが…


何故だ。以前に観た時は最高にカッコイイ映画だと思ったのに。主演2人のむせ返るような男の色気に身悶えながら鑑賞した小学生のKOROなのに(どんな趣味のおこちゃまだ)。あ、公開時に観たワケじゃありマセンからね!いくらご老体KOROでもさすがに1970年作の映画はリアルタイムじゃねぇよ。初めて観たのはお正月の新春ロードショーと銘打った深夜放送だったような気がする。小学生が深夜にギャング映画を観ててヨイのかというご非難はともかく。

ところが観直してみたら、全然本格ギャング映画じゃねぇよ。特にロッコとフランソワが出会うきっかけとなった喧嘩なんてギャグかとオモタよ。編集が雑だったり、演出がいい加減で意味が判んないシーンや説明不足な展開が多すぎる。冒頭でロッコが裏切り者の店に火をつけるシーンがあるんだけど、カーテンに火が燃え移ってガンガン燃えてるつ〜のに、店内にいる踊り子さんとか裏切り者のオカマヤローのリアクションが一切、ありマセンでしたから。燃え盛る炎の中で悠々と去っていくロッコの姿だけはバッチリあったけど。アンタら、ナニなってるんだ。

頭がいい、要領がいいと劇中で言われる2人だけど、どこがだよ。やってることは至極単純だし、要領が良くも見えない。ナニやっても失敗ばっかりだよ。それなのに着実に生活レベルが向上していくのは何故だ。ローラやジネットとの関係もあまりにも説明不足で理解不能。ストーリー背景があまりにもテキトーなつくりなんで、緊迫感皆無。

ギャングとして徐々にのし上がっていく2人を描いてる割には肝心の抗争劇にまるで迫力がない。やってること全てが軽いノリと単純な動機によるものなんで、どうにも軽い印象しかない。アラン・ドロンの表情だけは渋さ満点なんだが。

え〜と。全然、褒めてないのに5つ星をつけているのは何故かと申しますと。万事、主演2人の色気で乗り切ろうとする強引さが好きだからデス!ストーリー背景とか伏線とか細かい人物描写なんか、どうでもいい!ロッコとフランソワをいかに格好良く撮るか、どれだけ魅力的に撮るか!渋く、粋に見せるか!それだけに力を注ぐ!みたいな心意気に惚れたとです。この作品は内容をあぁだこうだいう作品ではなくて俳優を楽しむ映画だと思う。そういう意味では楽しめた。当時のフランスの2大スターであるアラン・ドロンとジャン=ポール・ベルモンドが粋なスーツに身を包み、ゾクゾクするほどの色気を発散している。それだけで充分じゃありませんか。
1970年/フランス・イタリア/125分/監督:ジャック・ドレー
BORSALINO
2009.12.13記

「ツキなんて、ないんだよ」
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