魔法学校の3年生になったハリーたち3人に襲い掛かる新たな危機。
相変わらずダーズリー家で退屈でみじめな夏休みを過ごすハリー(ダニエル・ラドクリフ)。ふとしたことから魔法を使ってしまったハリーは、ダーズリー家を飛び出してしまう。人間界で勝手に魔法を使うのは校則違反。退学の危機に怯えるハリーだが、ダイアゴン横丁で当然のようにハリーを待ち受けていた魔法庁の大臣に叱られるどころか、逆に身の危険はなかったかと心配される。街ではアズカバン牢獄から危険な魔法使いシリウス・ブラック(ゲイリー・オールドマン)が脱獄したという話題で持ちきりだったのだ。噂ではシリウス・ブラックはハリーの両親をヴォルデモートに引き渡し、死に追いやった張本人。そして、今度はハリーの行方を追っているというのだ。
ダンブルドア校長(マイケル・ガンボン)はやむを得ずアズカバン牢獄の看守、ディメンターを見張りに立てるが、彼らの発する闇の力はハリーにも深く影響を及ぼす。新任教師ルーピン(デヴィッド・シューリス)から、闇の魔力に対する防衛術を学ぶハリーだがシリウス・ブラックの影はすぐそこまで近づいていた…
ハリーがホグワーツ魔法学校に到着するまでは面白い。ディメンターの不気味さも原作では想像するしかなかったけど、映像化されることで、より強く伝わってきました。個人的には「ロード・オブ・ザ・リング」のナズグルと印象がかぶってますが。しかしホグワーツに着いてからは前作にも増して駆け足。今回のキャスティングの目玉といえるシリウス・ブラック=ゲイリー・オールドマンも印象が薄すぎる。いかに恐れられているか全然伝わってこないから、あぁ凶悪な脱獄犯ですか、そうですかってカンジ。そもそもアズカバンがどれだけ脱獄不可能かつ恐ろしいトコか描かれてないのもいかがなものか。
原作の第2巻で確かハグリッドがアズカバンに連れて行かれるエピソードがあったのですが、あのハグリッドが2度と行きたくない、あんな恐ろしいトコロはないと打ち震えるような場所なのデス。そんなコトがこれっぽちも出てこないから、そこから脱獄したシリウス・ブラックがいかに手ごわい人物かというのが伝わらない。勿体ないですなぁ。
ダンブルドア校長が交代したのも悲しい出来事。リチャード・ハリスが前作の直後に亡くなってしまったから。彼が演じるダンブルドア校長はKOROが思い描いていた校長そのもので、ホントに素晴らしかったから。「賢者の石」のラストでダンブルドア校長の言葉に本気で号泣しましたから(原作でも映画でも)。マイケル・ガンボンも決して悪くはないですが、ちょっとお茶目な点がないとこが原作のダンブルドア校長と違うなと。
しかしお子さまの成長は早い。あっという間にコドモ、子供してたハリーが立派に少年。ロンなどには微妙に男を感じてしまいマシタよ。フレッドとジョージもカワイイが、ロンもなかなかとか思っちゃったワ。あら、別に怪しい趣味なんてございませんことよ?ハーマイオニーちゃんも可愛いかったケド、ご不満は制服姿が少なかったコトでしょうか。やっぱりハーマイオニーちゃんは制服姿が一番ラヴリー。
どんどんハリーを取り巻く状況とか置かれている立場が明かされてきて、スケールは大きくなってるはずなのに今作には妙にこぢんまりした印象しかナシ。なんだかダイジェスト版を観ているようなカンジでした。デモ、エンド・クレジットは異常に長かったなぁ。必ずエンド・クレジットが終わるまで席を立たないKORO&友人ですが、この作品のエンド・クレジットには正直へこたれそうになった。
2004年/アメリカ/142分/監督:アルフォンソ・キュアロン
HARRY POTTER AND THE PRISONER OF AZKABAN