ホーンティング

1963年にシャーリー・ジャクソンの恐怖小説をロバート・ワイズ監督が映画化した「たたり」をヤン・デ・ボン監督がSFXをこれでもかッと駆使してリメイクしたホラー。

ヒル・ハウス。そこは130年前、実業家ヒュー・クレインが妻と生まれてくる子供のために建てた館だったが立て続けに起こった悲劇とその後、人々の間で語り継がれた不吉な噂のために長年住む者がなく、今は不気味な館と化していた。霊をはじめ非科学的な恐怖を科学的に実証する研究をするマロー教授(リーアム・ニーソン)は、ヒルハウスを舞台にある実験計画を立てた。それは睡眠障害を持つ患者を集め、彼らには真の目的を知らせずに館の忌まわしい過去を話し、その反応を確かめるというもの。

そしてマロー教授の出した新聞広告によって集められた3人の男女。病身の母の看護で青春を犠牲にした上に受け取れると信じていた遺産さえ奪われ、住む所を追われた内気な女性ネル(リリ・テイラー)、美しいが勝気な性格の女性セオ(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)、皮肉屋の青年ルーク(オーウェン・ウィルソン)。彼らは贅を尽くした館の内部に目を奪われるが、同時に重苦しく不気味な気配も感じる。そして、宿泊したその夜から館は彼らに恐ろしい正体を現していく。


なんじゃ、こりゃ。怖くもなんともないわよ。ホラーじゃないわよ。まぁ監督がヤン・デ・ボンだから仕方ないと言えば仕方ないですが。しかしCGでドンドコ幽霊を出して観客が「キャァ、コワイッ!」とホントに恐怖に打ち震えると思ったのか彼に問い詰めたい。激しく問い詰めたい。なんでも出血大サービスすりゃイイってもんじゃないだろ。それとヒロインに華がなさすぎ。キャサリン姐さんをヒロインにしてよ。まぁ彼女も美しいですが、監督が人間の心理描写などに全く関心がないと思われるヤン・デ・ボンなので、「私は何をすればいいの?」ってカンジであまり目立ってなかったですが。どうして出演したのか未だに謎。

マロー教授を演じるリーアム・ニーソンの演技も型通りというか類型的というか。あまりキャラクターに魅力が感じられず。キャサリン姐さんとリーアム・ニーソン目当てで観たKOROとしてはこの時点でかなりの減点。じゃぁ、ストーリー展開はどうよ?と思っても平板なコトこの上なく、しかもあまり美しくないお姉さんがキャァキャァ喚いても全く興奮しないのよねぇ。というか音ばっかりうるさくて、全然怖くない幽霊たちの出現シーンにビビってるネルに「マジですかッ」と問い詰めたくなりマシタ。見えそうで見えないから、怖いし興奮するのに。幽霊ですよッ!怪奇現象ですよッ!最新SFXですよッ!ってカンジでドンドコドンドコ幽霊さん達を登場させても全く怖くもないし、驚きもナシ。

エンディング。「フランダースの犬」ですか?ほぼ同時期に公開された「TATARI」(これは「たたり」ではなくてウィリアム・キャッスル監督の「地獄へつづく部屋」のリメイク。ややこしい)も怖くはないですが、まだそれなりに楽しめたような。もちろんオリジナルよりはお金かかってるし、「TATARI」よりもお金はかかってるんだろうけど、面白さ的には間違いなく最下位デス。
1999年/アメリカ/112分/監督:ヤン・デ・ボン
THE HAUNTING

「J・デ・ボン、自作に必ずキューブリックへのオマージュを入れるとか。キューブリックが知ったら、怒るでホンマに」
アイ★ラブシネマTOPに戻る