ハスラー

ひとりのハスラーの挫折と苦渋を描いたドラマ。若さ溢れるポール・ニューマンと熟練味たっぷり(脂肪もたっぷり)のジャッキー・グリーソンの演技が光る。

15歳の時からハスラーとして生きてきたエディ・フェルソン(ポール・ニューマン)は腕を磨き、シカゴで名うてのハスラー、ミネソタ・ファッツ(ジャッキー・グリーソン)に挑戦した。勝負は36時間にわたるポケット式玉突きで行われた。勝負の前半はほとんどエディが奪ったが、調子に乗って酒を飲みながら勝負を続けたエディは徐々に逆転され、最後には場数を踏む老練なミネソタ・ファッツに敗れ一文無しになる。相棒からも逃げ出し、やけ酒に耽るエディ。

そんなある日、明け方のバス・ステーションで彼は作家志望のサラ(パイパー・ローリー)という女性に出会い、彼女のアパートで暮らすようになる。やがて金に詰まり、再び稼ぎに出るエディの前にバート(ジョージ・C・スコット)という賭博師が現れる。75%の分け前を条件にマネージャーを引き受けるというバート。最初は断るエディだったが、小銭を稼いだビリヤード場で本物のハスラーと見破られ袋叩きに合い、いよいよ文無しになったエディは上客を紹介するというバートに泣きつくが…


びっくりした。「スティング」みたいな爽快というか観た後、「いやぁ〜やられたねぇ!しかし面白かったねぇ!」と高らかに語れる作品かと思ってたら大違い。かなりクールでしかもラストは悲しい。内容は2時間以上もかける必要があるのか少々疑問だし、語り口が妙に淡々としてるし。台詞もそんなにないし。デモ、カッコイイ。ポール・ニューマンってこんなにカッコよかったの?と驚くほどのクール・ガイ。仕草、表情、台詞。どれをとっても不敵かつステキ。惚れた。サラが「愛してる」と言った時の受け答えも実際言われたら、どうしようもなく悲しくなりそうだけど、映画で観ると「ひぃぃぃ〜ッ、痺れるぅッ!子宮が疼くわよ!」と意味不明な言葉を叫びながらウットリしたり。

デモ、マジでハスラーの爽やかかつカッチョイイ物語と思ってたので、全編に漂う物悲しさにいい意味で驚かされた。未見だけど「ハスラー2」はトムちん主演だから、「ハスラー2」=「カクテル」路線=胸焼けしそうなほどに爽やか、なので元になるこの作品も爽やか路線と激しく勘違いしてたもので。

あ、ポール・ニューマンもカッコイイけど、ジャッキー・グリーソンがこれまたカッコイイ。デブでこんなにカッコイイおっさんがいるとは驚きですよ(失礼)。身のこなし、視線、スーツの着こなし方まで全てがダンディ。ラストのエディの独白シーンでも、ほとんど台詞がないのに異常に存在感たっぷり。ハンサムガイを食わんばかりの伊達男ぶり。危うくデブに惚れそうになった。しかし、いくらなんでもミネソタ・ファッツって愛称はどうよ?ミネソタのおデブちゃん?なんか妙に可愛いような。

サラ役のパイパー・ローリーも驚き。「キャリー」のお母さん役くらいしか印象にないので、あのパイパー・ローリーですかッ!と非常に驚いた。決して美人ではないですが、ただ欲しいのは愛する人からの愛の言葉だけというサラの気持ち、いつも捨て鉢な態度なのに実はとんでもなく繊細なんでは?というのが彼女のちょっとした表情や仕草、台詞で痛いほど伝わってきて泣けた。デモ、ラストでエディが漏らす「愛してる」という言葉には真実味が感じられなかった。単にKOROがひねくれてるだけかも知れないけど、○○○しまった後でそんなコト言っても信じられないわよ?確かに彼女を○○○コトでショックは受けたでしょうよ。デモ、そのショックのあまりに「愛してる」と思いこんでるだけじゃないの?とか思ってしまった。男が何かに情熱を燃やす時、女は途方もなく寂しい思いをするものなのかなぁと、この作品を観てシミジミ思ったり。ミーもそんな男に恋焦がれて、涙で枕を濡らしてみたい(大ウソ)

観る人によってはクサく感じられるかも知れないし、ラストはけっこう暗いけど、ポール・ニューマンのセクシーさにホレボレ出来る作品です。
1961年/アメリカ/135分/監督:ロバート・ロッセン
THE HUSTLER

「赤ちゃんみたいにパウダー振ってる姿さえ色男なデブ」
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