不思議惑星キン・ザ・ザ

妻に買い物を頼まれ街に出かけた建築技師のウラジーミル(スタニスラフ・リュブシン)は、ヴァイオリンを手にした学生ゲデバン(レワン・ガブリアゼ)に異星人だと名乗る奇妙な男がいるので一緒に来て欲しいと呼び止められる。裸足でみすぼらしい身なりの男がウラジーミルに訴える。「自分はベータ星雲から空間移動装置を使って地球に来たのだが、装置が壊れてしまって帰れない」と。男の言うことを全く信じないウラジーミルだったが、その男の持つ機械に触れた次の瞬間、ゲデバンと共に砂漠に立っていた。…ココハドコデスカ?

ナニが起きたのかさっぱり理解出来ない2人だったが、ココはカラクム砂漠に違いない!西へ向かえば街に出る!というウラジーミルの根拠のない提案でひたすら砂漠を歩くが見えるのは砂ばかり。いや、アレはなんだ!何かが空を飛んでこちらにやってくるぞ!…ツリガネ?

釣鐘状の飛行物体に乗ってやってきたのは2人の男。彼らは「ク〜〜〜ッ」としか話さず、全く言葉が通じなかったが、何故かウラジーミルの持っていたマッチに異常な興味を示したため、マッチと引換えに飛行船に乗せてもらえるコトになる。飛行船の中で突然ロシア語で話し始める2人の男。ウラジーミルたちの思考を読んで言語を解読したという2人の男はウエフ(エヴゲー二一・レオノフ)とビー(ユーリー・ヤコヴレフ)と名乗り、ここはキン・ザ・ザ星雲の惑星プリュクであること、この星ではマッチがとてつもなく貴重なものであることを語る。

地球で大量のマッチを買って渡すことを条件にウエフとビーはウラジーミルたちを地球へ送り届けるコトを約束するが、惑星プリュクは一筋縄でいかない連中ばかりのとんでも惑星だった。果たしてウラジーミルとゲデバンは無事に地球へ帰ることが出来るのか?


ク〜〜〜〜ッ!以上、感想終わり。ナニ、短い?失礼な!そんな怪しからんコトを言う輩はキュ〜〜〜〜ッだ!ツァークつけてやる!エツィフに詰め込んでやる!

あぁ、すんません。意味不明な用語の垂れ流しで。ま、キン・ザ・ザ観れば判りますから。一度、騙されたと思って観てクダサイよ。DVDは新品が28,000円と脅威の価格となっておりますが。惑星プリュクのエツィロップばりに強欲価格だな。マッチ1本くらいの価格にオマケしてチョンマゲ。何故、マッチ。あのね、キン・ザ・ザ星雲ではマッチは超貴重品なのッ!マッチ一箱で22,000チャトルだったような。因みに惑星プリュクで暮らすには一ヶ月1チャトルほど必要らしい。…今からお隣のタバコ屋さんに走って徳用マッチ箱を大人買いしてくるんで誰かミーをプリュクにテレポートさせてクレッ!PJ様に代わってミーがプリュクの権力者になるッ!

あぁ、いかん。無闇に興奮した。落ち着けKOROちゃん。ミーがこの作品を観たのは数年前。その時はまだDVDも今のようなプレミア価格ではなかったので貧民KOROでも手が出せた。タイトルと妙にチープなジャケットデザインにへっぽこ魂が刺激されて特に予備知識もなく観ちゃったワケですが。うん、とにかくトンデモないもんを観たとしか表現しようがない。多分、ムチャクチャ好き嫌いが分かれる作品。スゲェ、ツボにハマる人と全然ノリについていけずに退屈と感じる人。ミーはかなりツボってしまいマシタよ。

冒頭から爆笑。異星人と名乗ってる人がいますと言うゲデバンにウラジーミルが一言、「通報しろ」。この簡潔さがたまらんッ。とにかくウラジーミルとゲデバンの噛み合わなさ加減がスゴすぎる。役立たずのゲデバンに対してどこまでも男気溢れるウラジーミル。ミーはこのおっさんに惚れマシタね。地球の道理が通じないとんでも惑星プリュクでも男気を通そうとするウラジーミルが背に腹は変えられんと満面の笑みで「ク〜〜〜ッ」と挨拶をするシーンで腹を抱えて笑った。

この作品で描かれる惑星プリュクは加速器でどんな場所でも5秒で到着出来たり、テレパシーでお互いの思考を読み取ったりとかなり高度な文明と思われるんですが、見た目はとてつもなくローテク。飛行船もどう見たって釣鐘を改造したようにか見えん。加速器が出てきた時はそれは絶対、電子式蚊取り器だろうがッと激しくツッコんでみた。そして惑星プリュクの住民は揃いも揃ってすごく貧しそうだ。因みに貧富の差はステテコの色で判別。…何故ステテコ。

惑星プリュクの住民は皆が病的なまでに貪欲。自分さえ良ければ他はどうなってもいい。おかげでウラジーミルとゲデバンは振り回されて、闇市で騙されるわ、ペペラッツ(飛行船のコト)は燃料切れになって広い砂漠の中を押して歩く羽目になるわ、馴れない大道芸で小銭を稼ぐコトになるわと散々な目に遭う。地球への道のりは果てしなく遠い。

ソ連製のSF作品なのでタルコフスキーの「惑星ソラリス」のような小難しい作品と思って敬遠してる方。全然、小難しくないですから!むしろ脱力系ですから!ま、かなり展開が唐突すぎて1秒後の予測もつかない作品ではありますが。ローテク、キッチュなSFの姿を借りて実はこっそり体制批判をしてるようにも思えるそのディストピアな内容に、厳しいであろうソビエトの検閲を通ったなぁと観終わったあと思いましたわ。

徹頭徹尾、理不尽で不条理。デモ脱力系な展開がたまらなくB級作品好き魂を揺さぶるB級界の逸品。結末はけっこうしっかりSF的なオチがついているのもイイ。
1986年/ソ連/135分/監督:ゲオルギー・ダネリア
KIN-DZA-DZA
2010.03.14記

「ママ、ママどうしよう〜」
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