それは、海賊たちが大海を荒らしまわった遥かな時代─運命に立ち向かう若者、呪いを解く鍵を握る女、自由を愛する一匹狼、死を許されない海賊─その呪いを解くのは、愛
ディズニーランドの人気アトラクション“カリブの海賊”をモチーフにしたアクション・アドベンチャー。
時は17世紀、海賊たちが大海原を荒らしまわっていた時代。カリブ海の港町ポートロイヤル。総督の娘エリザベス(キーラ・ナイトレイ)は幼い頃に海を漂流しているところを助けた少年が身につけていた黄金のメダルを今も大切に保管していた。その少年の名前はウィル。彼は鍛冶屋の徒弟として引き取られる。成長したウィル(オーランド・ブルーム)はエリザベスに恋心を密かに抱いていたが身分違いからそんな想いを抑えていた。一方、エリザベスもウィルを愛しているのだが身分の差を気にしているウィルにやきもきする毎日。そんなある日、突然ブラックパール号に乗り、キャプテン・バルボッサ(ジェフリー・ラッシュ)率いる海賊たちが現われる。町は襲撃され、エリザベスがさらわれてしまう。海賊の目的は彼女が身につけていた黄金のメダル。ウィルはエリザベスを救うべく、幽閉されていた元ブラックパール号船長で一匹狼の海賊ジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)の協力を仰ぐ。遠い昔、ブラックパール号の船長だったジャックは彼の下で働いていたバルボッサの裏切りにあい、孤島に置き去りにされ船を乗っ取られたという因縁があった。ジャックと共にエリザベスの救出に向かうウィルだったが…
「海賊映画は絶対に当たらない」というジンクスを撥ね退けて大ヒットした作品。ジョニー・デップのいきすぎメイクとエキセントリックでユーモア溢れる演技が評判を呼び、彼の代表作となってしまいマシタ。なんだかこの作品が代表作ってどうよ?みたいな書き方だなぁ。いや、キライじゃないんですけど。ただディズニー作品なんで子供から大人まで楽しめる出来とはなってるケド、はっきりいって毒がないワケだ。そりゃ金は掛かってる。映像も素晴らしく手がこんでるし、ジョニー・デップをはじめとしたキャスト陣が画面いっぱいに大暴れするシーンはそれなりに見応えがある。デモなぁ。なんつ〜か薄いんだわ。ド派手だが観終わった後になんにも残らない。製作がジェリー・ブラッカイマーだからなのか?どうにも大味で無難な作りの当作品。ミーはあんまり乗れなかった。
しかし、そんなよく言えば王道、はっきり言えば無難でどうにか及第点の作品を芳しい香りに包まれた胸ときめく海洋冒険色男物語に仕立てたのはやはりジョニー・デップの力によるところが大きいのは間違いない。大仰な演技もやりすぎメイクも無問題。ただ立っているだけでスンバらしくセクスィじゃないですか!酔っ払っているかのようなフラフラした歩き方さえ色っぽいじゃないですか!普段はとことんおちゃらけてんのに、やる時はやる精神のジャック・スパロウにぞっこんですよ!アナタがいるだけで他にはなんもイランみたいな。「ロード・オブ・ザ・リング」でエルフの王子を演じて全世界の女の子ちゃんのハートを鷲掴みにしたオーランド・ブルームも霞む色男ぶり。ま、この作品での演技が評価されてジョニー・デップがアカデミー主演男優賞にノミネートされたのは、さすがにないだろと思ったが。
メダルの呪いがツッコミたくなるような設定だったり、バルボッサたちの呪いを解く儀式の件が妙に冗長なワリにはクライマックス部分に迫力がなかったのは残念。やっぱり海洋冒険映画なんだからクライマックスは怒涛の展開を期待したいところ。このパートがどうにも血湧き肉躍らないので、観終わった後に妙な残尿感がいたしました。
万人受けはするが血なまぐさいシーンも激しい暴力シーンもほとんどないし、人物描写もあっさりし過ぎなので大人の観点からすれば、やや物足りなかったのでまさかあんなに大ヒットするとは思わなかったというのが正直なトコロ。
2003年/アメリカ/143分/監督:ゴア・ヴァービンスキー
PIRATES OF THE CARIBBEAN: THE CURSE OF THE BLACK PEARL
2009.03.12記