史上初!地上4,000mのノンストップ・エンタテインメント!
冬のロッキー山中を舞台に奪った1億ドルを紛失した国際的犯罪組織と山岳救助隊員の熾烈な戦いを描いた山岳アクション。
ゲイブ・ウォーカー(シルヴェスター・スタローン)はロッキー山脈でレスキュー隊の仕事に就いていたが、同僚で親友のハル(マイケル・ルーカー)とその恋人サラの救助に向った際にサラの救助に失敗し、彼女を死なせてしまう。それ以来、ハルはゲイブに憎しみを抱き、自責の念にかられたゲイブは恋人ジェシー(ジャニン・ターナー)を置いて山を下りる。そして8か月後。久しぶりに山に戻ってきたゲイブはジェシーに山を下りて一緒に暮らそうと打ち明ける。しかし未だに事故の責任は自分にあると己を責め続けるゲイブは「サラの事故はあなたのせいではない、最善を尽くした」という彼女の言葉に耳を傾けずに2人の気持ちはすれ違うばかり。その頃、財務省造幣局の輸送機がクウェイルン(ジョン・リスゴー)率いる国際的犯罪組織の小型ジェット機に襲われる。3個のトランクに詰められた1億ドルを奪おうとしての犯行だった。組織に内通する造幣局のトラヴァース(レックス・リン)の手引きにより、計画されたその犯行は思わぬアクシデントにより失敗。大金が詰まった3個のトランクはロッキー山中へと投げ出されてしまう。ジェット機は機体を激しく損傷させながら不時着。クウェイルンは偽の救難信号を発して救助にやってきたゲイブとハルを脅してトランクを探すように強要する。
スタローンが頑張っております。心に傷を負い屈折しまくった感情を抱え、一人勝手に苦悩している男を嬉しそうに演じております。この屈折した男っていう役柄がエラくスタローンは気に入っているようで、この作品以降も「暗殺者」や「スペシャリスト」でも内面に傷を負った男をしつこく演じておりました。いや、ミーはこの苦悩するスタローンが意外と好きなんだけどね。それはともかく。オープニングの断崖絶壁でのフリークライミングにいきなり度肝を抜かれる。今回のスタは山を知り尽くした天才クライマーではあるが、武器の知識があるわけでもなく丸腰状態で頑張るしかない男を演じておるワケですが。クソ寒いロッキー山中(実際のロケ地はイタリアのドロミーティ)で白シャツ一枚で頑張る姿に究極のマゾ体質を見たというか。観てるこっちの方が凍えるわ。
あ、冒頭のハルの恋人が墜落していくシーン。ホントに落ちてるそうですわ。なんとスタントなんですと。ウソだろ。スゲェな、あのスタントお姉ちゃん。背負っていたナップサックが実はパラシュートで落下している途中で開いて無事に着地したらしいが、どんだけ命知らずなんだよ。一歩間違ったら山肌に打ち付けられて即死だろうが。スタントに対するギャラとしてはかなりの高額が払われたそうですがホント命知らずにも程があるというか、監督のレニー・ハーリンの間違った方向に熱く燃えるアクション志向に感服というか。
恋人ジェシーやハルとの和解の仕方は安っぽ過ぎて見るに堪えませんが、そこは監督がレニー・ハーリンなので仕方がない。ダイナミックではあるが一本調子なアクションしか描けない監督だもん。デモ意外とキライじゃない。「ロング・キス・グッドナイト」とか大好きですよ。とにかくこの作品はレニー・ハーリンのナニも考えてないとしか思えないド派手なアクションとトラウマを抱えた男が悪党どもとボロボロになりながらも戦い、トラウマを乗り越えて愛と友情を取り戻すというドラマが見事に融合した素晴らしい作品なんですよ。ま、ドラマ部分は正直、どうしようもなく安っぽいですけどね。そこはスタローンの苦虫噛み潰したような表情に免じて目を瞑ってあげたいトコロ。ただ、ロッキー山中に消えた1億ドルを探しての攻防がメインだったのに、途中からどうでもいいやとばかりに投げやりな扱いになってきたのは残念。それもレニー・ハーリンの詰めの甘さといってしまえばそれまでなのか。
スタローンが立ち向かう悪党クウェイルン(発音がよくワカラン名前だ)を演じるのはKOROが偏愛しているジョン・リスゴーですよ。決して声を荒げたり口汚く罵ったりはしないが、笑顔でスンバらしく恐ろしいコトをしてくれる彼がサイコーですよ。あの静かにイカレてる演技は何度観てもチビりそうになる程、ステキ。
当時低迷していたスタローンが見事に復活した当作品はスタローン主演の映画では一番興奮出来るアクション映画だと思います。しかし、60歳を越えてこの作品の続編をスタローン主演で製作予定だというのはホントか?やめとけスタローン。
1993年/アメリカ・フランス/113分/監督:レニー・ハーリン
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