世界を犯す、騒がしい絶望。カナダの恐るべき新鋭がおくる、20世紀の言葉では語れないオーヴァー・ジャンル・ゲーム・ムーヴィー。
男が目覚めるとそこは箱の中だった。数々の罠。同じように囚われた男女との間に繰り広げられる人間模様。出口を求め、ただ彼らは進む。
ワース(デヴィッド・ヒューレット)が目覚めると、そこは正方形の立方体の中だった。誰が何の目的で閉じ込めたのか。そしてこの箱は一体、何のために作られたのか。脱出するためには6つあるハッチの何れかから同じ立方体で繋がれている隣に移動し、出口を目指すしかないようだ。しかしいくつかの部屋には殺人トラップが仕掛けられており、脱出は容易ではなかった。出口を目指すうちに同じように捕らえられた警官のクエンティン(モーリス・ディーン・ウィン)、精神科医のハロウェイ(ニッキー・グァダーニ)、いくつもの刑務所から脱獄した経験のあるレン(ウェイン・ロブソン)、数学専攻の女子大生レブン(ニコール・デ・ボア)、何らかの精神障害を持っているらしい青年カザン(アンドリュー・ミラー)に出会い、行動を共にする。やがて彼らは安全な部屋を示す暗号に気付くのだが…
オープニングのシークエンスが情け容赦ないまでにグロい。1分ほどの映像でCUBE内にはトラップが存在して危険だということを強烈にアピールしております。あのスキンヘッドのおっさんの見事なやられっぷりに肝が冷えたわ。そしてそれ以外はなんの説明もなく巨大な立方体の中で目覚め、出会う男女。みな囚人のような服を着せられ、何故ここに連れてこられたのかも全く判りマセン。出口を目指したくてもどの部屋も同じ作りだし、そのうえ矢が飛んできたり毒ガス噴出したりと罠だらけ。誰だ、こんな悪趣味でやたらとバカでかい箱を作ったのは。
出演者は7人でワンセットという低予算作品ながら、かなり面白い。その斬新なデザインと予想不可能は展開には驚かされたが、登場人物の性格描写がややステレオタイプなのは残念。
リーダー的存在の警官が職業柄から行動力を発揮してメンバーを引っ張っていくが、徐々に…という点や内向的な女子大生が数学専攻であるという設定、知的障害だが実は○○○○症候群の青年。正義感をふりかざすフェミニストな女医の独善的な性格が引き起こす不仲。そしてワースが実は○の○○○であるという点。CUBEの造型は奇抜だし閉塞感満載で閉所恐怖症のKOROにはとんでもなく怖い空間だったが、そこで繰り広げられる人間模様はお約束なカンジ。ま、こういう作品ではそれぞれのキャラがはっきりしてないとダメだから、アリなんだろうな。しかし○○○○症候群というのは都合が良すぎじゃありませんか?不条理な状況の中にも一片の気づかいってヤツかしら。レブンの○○○が唯一、持込を許された点とか。
ある登場人物が吐く台詞を考えるとラストはなんとも皮肉。
1997年/カナダ/91分/監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ
CUBE