禁断の惑星

SFに潜在意識という心理学的なテーマを盛り込んだ、1956年当時としてはあまりにも斬新かつ高尚なSF異色作。

宇宙移民がはじまった西暦2200年代。惑星アルテア4に一隻の宇宙船が到着する。20年前にアルテア4に移住し、その後連絡を絶った移民団の捜索のためにやってきたのだ。アダムス機長(レスリー・ニールセン)をはじめとする調査団は移民団の唯一の生き残りであるモービアス博士(ウォルター・ピジョン)に出会う。博士はこの惑星で生まれた娘アルティラ(アン・フランシス)と、彼の造った精巧なロボット、ロビーとともに暮らしていた。そしてアルテアには地球人とは比べるべくもないほどに進化したクレール人がいたこと、そのクレール人がある日突然、一夜にして滅亡したこと、移民団もまた正体不明の怪物に襲われて自分たち以外はみな死んでしまったこと、などを語った。またアダムスらが乗ってきた宇宙艇も正体不明の怪物、“イドの怪物”に襲われるだろうと言い、即刻この星を離れるよう求める。

そして博士の忠告通りに謎の怪物に襲われる宇宙艇。博士のいう、“イドの怪物”の正体とは?


スゲェ。1956年当時にこんな作品を作ったことがスゴイ。SF=お子サマ向けと思われていた時代に“イドの怪物”ですよ。その観念的なテーマに驚く。丁寧に作りこんだ特撮に驚く。練り込まれた脚本にも驚く。そしてアン・フランシスのスカートの有り得ない短さに激しく驚く。イイ!アルティラちゃんのキュートなセクシーさに「ぽっぽ〜ッ!」。遥か彼方の辺境の地であんなに無垢でミニスカなお嬢ちゃんに出会ったら、ジェントルマンだろうがヨボヨボおじいちゃんだろうが、激しく興奮。うん、モービアス博士の子育ては素晴らしいッ。

あ、お堅いアダムス機長を「裸の銃を持つ男」のレスリー・ニールセンが演じてますよ。びっくり。あまりの堅物ぶりに同姓同名の別人とか思った。まぁよくよく考えてみれば映画デビューからしばらくはシリアスものにも出てたようだし、「裸の銃を持つ男」も見た目は渋い紳士がしょうもないギャグをかますことが面白いワケですしね。

冒頭は明朗快活、冒険SFもの的な展開ですが潜在意識、自我の抑制という心理学的なテーマが出てくる中盤あたりからコワイ、コワイ。ショッキングなシーンがあるワケではないケド、心のひだにヒシヒシと忍び寄る見えない恐怖とでもいいましょうか。それとロボットのロビー。以後のSF作品に登場するロボットのデザインに多大な影響を与えております。「スター・ウォーズ」のR2-D2や「宇宙家族ロビンソン」のフライデーとか。ストーリー後半にアシモフの「ロボット三原則」に影響された描写があり、ここでも潜在意識とは?というのが暗示されており、なんとも哲学的。

あまりにも時代を先取りしすぎて、公開当時はあまりウケがよろしくなかったようですが、正にSF映画の金字塔作品の一つと言っても過言ではない素晴らしい作品。SF好きなら是非、抑えておきたい作品デス。
1956年/アメリカ/98分/監督:フレッド・マクロード・ウィルコックス
FORBIDDEN PLANET
2008.02.20記

「視線防止服」
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