がんばっていきまっしょい

愛媛県、松山を舞台に進学校に入学した女子高生が女子ボート部を作り、仲間と共に大会に出場する過程を描いた青春映画。田中麗奈の映画初主演作。

1998年の四国・松山。瀬戸内海を臨む浜辺に打ち捨てられたボートハウス。10年前まで伊予東高校ボート部の部室として使われていたその部屋には歴代の部員達の写真や新聞記事の切抜きが貼られている。その中の一枚の写真。色褪せたその写真には5人の少女たちの姿が写っていた。1976年、春。高校入学を控えた春休み、篠村悦子(田中麗奈)は高校のボート部の練習を目撃する。夕陽に照らされたその練習風景は美しく、悦子の脳裏に焼きついた。しかし彼女が入学した伊予東高校には女子ボート部がなかった。落胆する悦子だったが持ち前の強情な性格から、「ないなら作ればええんか!」とボート部顧問の教師を説得して女子ボート部を設立してしまう。部員は悦子ただ一人。ナックル・フォアという5人競技が女子ボートの主流であると聞いた悦子は新人戦のある10月までという条件でダッコ、ヒメ、リー、イモッチらを女子ボート部にひきいれるのだが…


公開から間もなく。なっちゃん好きの友達がムリヤリ、ビデオを貸してくれた。なっちゃん可愛いから!なっちゃんの松山弁がたまらん可愛いから!と。え〜と。ミーは青春映画は苦手ジャンルなんですがという言葉にも耳を貸さずに強制的にビデオを渡された。なっちゃん熱狂的ファンだった友達を怒らせると後が面倒なので観た。迂闊にも泣いた。恥ずかしいくらい青春です。高校に進学しても目的が見つからず、毎日がなんとなくつまらない悦子が、ボート部に入部して自ら部員を集めることで女子ボート部を作りマスよ。「そうじゃ、ないんじゃったら作ればええんか!」と張り切るなっちゃんを観て思わず、「うんうん、なっちゃん。そうじゃ、頑張れよ」と孫娘を慈しむお爺ちゃんのような気持ちで鑑賞。はじめは単に憧れていただけで全くボートの知識のなかった彼女達が徐々にボート競技の魅力の虜になっていく姿が実に瑞々しく描かれてマスよ。

16歳から17歳という微妙な時期の女の子たちの一瞬がとても眩しい。眩しすぎてご老体には目の毒ですよ。終始、こっぱずかしい気持ちと戦いながら鑑賞。しかし青春映画でありながら、恋模様があっさりとしか描かれてないのがヨロシイ。悦子には幼なじみの関野クンという男の子がいますが彼との甘酸っぱい恋模様はほんの少ししか出てこない。あ〜ほっとした。青春初恋物語なんか見せつけられたら寄る年波には刺激が強いですから。ミーは田中麗奈のファンではないけれど、彼女の溌剌としたキャラクターが生きていてヨカッタ。意地っ張りでなかなか素直にお互いの気持ちを表せない2人が可愛い。思わずミーの甘酸っぱい青春時代を振り返ってみたり←大うそ

寄せ集めの仲間も最初は秋の新人戦までという約束で入部したけれど当然のように初試合は散々な結果に終わってしまったことから一念発起。このままでは辞められないと一致団結して地道にトレーニングを積み、少しづつではありますが成長していきます。最初は重くて持ち上げられなかったボートが、ひょいと持ち上げられるようになった時などは観ているミーまで嬉しくなっちゃったわよ。

小規模公開ながらも地道な宣伝が評判を呼び、異例のロングラン上映を記録し、当時のキネマ旬報で3位となった作品。たしかに小品ではありますが、映像がとても美しい。そして説明会話もナレーションもないけれど、短い台詞やなにげない仕種、表情でそれぞれのキャラクターの心の内を表現している演出に唸った。なにより5人の少女達が輝いている。キラキラと輝く水面のような儚げな少女達の青春のひとこまを淡々と描きながらもノスタルジー溢れる作風に素直に涙しましたよ。

クライマックスの大会での少女達が必死に歯を食いしばり、オールを漕ぐ姿。二度とはない青春の日々よ、美しくあれ。
1998年/日本/120分/監督:磯村一路
がんばっていきまっしょい

「決して田中麗奈のブルマ姿に萌え★とか、なってませんから」
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