グレート・ブルー

実在のダイバー、ジャック・マイヨールをモデルに道具なしでの潜水記録に命を賭ける男を描いたリュック・ベッソンの第3作目の映画。限りなく青い海とそれに魅せられ一体になりたいと願う男、ライバルとの友情、海に魅せられた男を静かに見守る女。彼らの織り成すドラマと静謐で神秘的な海を描いた作品。

イタリア人フリーダイバーのエンゾ・モリナーリ(ジャン・レノ)は一人の男を捜していた。幼い頃、ギリシャの海辺で出会い潜りの腕を競ったジャック。一流ダイバーとなり、稼いだ金をつぎ込んでジャックの行方を捜すエンゾ。ジャックと共にダイビング選手権に出場して勝利すること。それがエンゾの長年の夢だったのだ。

ニューヨークで保険調査員として働くジョアンナ(ロザンナ・アークエット)は自動車事故の調査でアンデス山脈の高地を訪れていた。そこで彼女は凍った湖に酸素ボンベもなしに潜水していく男に出会う。彼こそがエンゾが探し続けていたジャック・マイヨール(ジャン・マルク・バール)だった。水族館のイルカだけを友人として静かに暮らすジャックの不思議な魅力に惹かれていくジョアンナ。

やがてジャックとの再会を果たしたエンゾは彼をシチリアの競技会に連れ出すのだが…


カンヌ国際映画祭のオープニングを飾るもメディアからの酷評を受け、公開されても激しく不入りで当初の興行成績は惨憺たるものだったらしい。日本での公開も1、2週間で打ち切られたとか。フランスでの公開後、しばらくして10代の若者達の熱狂的な支持を受けて社会現象を巻き起こすほどになったらしいけど。あら、そうなんですか。因みにミーの地元では公開されなかったと思う。さすがに20年以上も前のことなんで憶えてないよ。しばらくして発売されたビデオを友達が購入したので一緒に観た。B級作品愛好家のKOROだが、この作品には素直に感動。その海の青さに。静謐な物語に。

静かな作品だねぇ。10代の頃からダイビングに親しんできたリュック・ベッソンが長年温めてきた“イルカに魅せられたダイバーの物語”を実在の天才ダイバーであるジャック・マイヨールの協力を得て映画化した当作品。リュック・ベッソンがどれだけ海を愛しているのかというのが、その美しい映像だけで伝わってくる作品です。

この作品は様々なバージョンがあり、完全版として約50分長い「グラン・ブルー/グレート・ブルー完全版」もありますが、国際バージョンとして日本で劇場公開された120分のもので充分かと思う。「グラン・ブルー」もしっかり観たが、かなり冗長な展開で途中でちょっと寝てしまいマシタよ。あきらかに無駄なシーンがありすぎ。

無口で不思議な雰囲気に包まれた主人公、豪放磊落なライバル、主人公に負けず劣らずな不思議ちゃんキャラのヒロイン。3人の主要人物が織り成す静かな物語。観直してみると、けっこう3人とも演技がクサい気もした。特にジャックとジョアンナの恋愛模様。お互いの気持ちがどうにも伝わってこない。ま、リュック・ベッソンの愛情表現法は独特というか偏ってますからね。そこは仕方ないのかもしれない。しかし。ジャックは○○だったんじゃねぇの?あの○○シーンでの主導権の握り具合を見ると、どうしてもそう感じてしまうミーはエゲツないでしょうか。そんなKOROの下世話精神はおいといて。

とにかく海の表情がいい。一番の主役は海。そしてイルカちゃん。ストーリーははっきり言って単調だったが、海の青さに無条件で心惹かれてしまう。登場人物の未熟な演技も説明不足のストーリー展開も気になりませんよ。純粋に海を愛する男、よきライバル、海へと誘われる男を見守る女。女は古今東西を問わず、男にとっては港なのかねぇ。

リュック・ベッソン作品の常連であるエリック・セラによる音楽も素晴らしいです。癒されたい時にはこの作品。
1988年/フランス・イタリア/120分/監督:リュック・ベッソン
LE GRAND BLEU

「私の愛を見てきて」
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