クローン

侵略者は捕獲し、複製する。

「お前は改造され、爆弾が埋め込まれたクローン人間だ。もはや本物の人間ではない、偽者なのだ!」自らをクローンと宣告され、その存在を否定された男が辿り着いた真実とは。

西暦2079年。地球は異星人ケンタウリとの軍事衝突を繰り返し、人類は青い空と緑豊かな大地の大半を失い、防御シールドに囲まれたドーム都市での生活を余儀なくされていた。天才科学者スペンサー(ゲイリー・シニーズ)は軍の極秘プロジェクトである爆弾兵器の責任者。議長との会談を今晩に控えた朝、職場へ向うスペンサーはオフィスビルのセキュリティが自分にだけ厳しいことを訝しむ。

そして突然現れた地球保安局(ESA)のハサウェイ少佐(ヴィンセント・ドノフリオ)に逮捕されてしまう。少佐はスペンサーにある容疑がかけられていることを告げる。本物のスペンサーは既に死んでおり、今いるスペンサーはケンタウリによって造られた精巧なクローンであると。そして体内には爆弾が仕掛けられ、標的に近づくと爆発するのだと。クローンは本物の人間と寸分違わぬ作りで更に「自分は人間だ」とインプットされていて自白させることも不可能。このままでは処刑されてしまうと考えたスペンサーは一瞬のスキをつき脱出する。自分が本物のスペンサーであることを証明するため執拗な追跡をかわしながら、ある場所へ向うスペンサー。彼は自らの存在を証明することが出来るのか?


2079年の未来描写がそこはかとなくチープなカンジなのはおいといて。アイデンティティ・クライシスですなぁ。スペンサー役のゲイリー・シニーズが善とも悪とも判別しがたいスペンサーを好演しててヨカですなぁ。彼の薄い眉と薄い頭髪を偏愛しているミーです。神経質そうな眼差しが好き。

いきなり捕まり、「お前はニセモノなんだよッ!」と言われ、問答無用に処刑されそうになるスペンサー。機転を利かして逃亡。しかし愛する妻(マデリーン・ストウ)も彼の存在に半信半疑。孤立無援。スペンサーがハサウェイ少佐の執拗な追跡を逃れるサマはなかなか緊張感溢れててハラハラしますが、中盤は少々中だるみアリ。スペンサーがゾーンと呼ばれるドーム外の戦火で焦土と化した戦災者や難民が住む場所でハサウェイから逃げるシーンとか自分の存在を証明するためにある場所へ忍びこむ辺りの描写とか。途中は少々ダレますが、笑ってもどこか悪人面のゲイリー・シニーズのお顔が拝めれば幸せなので問題ナシ。ぷくっとしたお腹はちょっと減点ですが。

数々の窮地を自慢の頭脳を駆使して切り抜けるスペンサーに対して追いかけるハサウェイ少佐はキレ者のように見えて実はおバカなんじゃないかという疑惑発生。今までクローンと間違えて10人も無実の人を処刑しちゃってるそうですから。スペンサーに騙されて右往左往しちゃいますから。ついでに○○を間違ってたとか言いますから。

ラストはなんとなく予想できたケド、まさか○も○○とは思いもしませんデシタ。そしてある言葉を呟き…。衝撃ですなぁ。そして哀しい。空を飛ぶ交通機関や建物のCGがちょっと安っぽいですが、最近のSFサスペンスでは出色の出来。
2001年/アメリカ/102分/監督:ゲイリー・フレダー
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