I love you,I need you…
スイス、ヌシャテルの湖畔。4人の男女が静かに湖面を見つめている。それぞれに和やかで安らぎに満ちた表情を浮かべている。しかし、見るものにふと奇妙な思いを抱かせる4人は何者なのか。そしてどういう関係なのだろうか…
随所に当時新進気鋭のイラストレータでコミック作者のギイ・ペラートの手によるコミックを挿入し、空想狂の青年がコミックのヒーローと同化して現実と幻想の狭間を行き来する様を描いたヌーヴェルバーグのポップアート的作品。
ピエール(ジャン=ピエール・カッセル)は小説家。イラストレータである妻ジャクリーヌ(クローディーヌ・オージェ)と組んで連載コミックを執筆している。贅沢がなにより大好きなピエールの暮らしは連載コミックでの稼ぎでは到底、賄いきれず借金がかさむ日々。そんなある日。彼の作品の大ファンだと名乗る青年ボブ(ミシェル・デュショッソワ)が訪れ、2人を母が住むスイスの別荘へと招待する。快適な別荘暮らしだったが、ボブをモデルにしたコミックを執筆しはじめたのをきっかけに4人は現実と幻想が交錯する世界へと迷いこんでいく…
いきなりギャ〜オッ!ウワァオ!アイ・ラヴ・ュー!アイ・ニード・ュー!とパンチがききまくりなタイトルトラックではじまりマス。一転、美しい庭園と湖畔。静かに佇む4人の男女。タイトルだけで観るのを決めたKOROの勘はハズレなのか?という不安がよぎったり。しかしそんな不安はすぐに消えました。随所に織り込まれるコミック、ポップ感満載のインテリア、ファッション。そしておフランス映画らしい台詞。イイ!特にインテリア。ボブが座る球形のボウル・チェアやピエールが使ってるタイプライター。ピエールが物語の中で執筆するコミックのタイトルを決めるヒントになるお菓子の包み(キャラメル?)までオシャレなカンジ。この作品のカラーコンサルタントも手がけ、クローディーヌ・オージェの下着まで選んだというギィ・ペラートのポップ感溢れる色彩もヨカですなぁ。赤!ピンク!黄色!原色バンザイ!
物語はピエール創作の“ヌシャテルの殺人者”というコミックが回を重ねていくと共に、空想狂のボブが次第にコミックのヒーロー、ミシェル・Dに同化していく過程を、イラストと実写のカット割を交錯させて巧みに表現しています。また、夢に生きるボブに対してあくまでも現実に固執するピエール。安定した暮らしと穏やかな愛情を望みながらも、夢に生きるボブに甘い感情を抱くジャクリーヌ。いい年した息子をどんなことをしてでも守ろうとする親ばかジュヌヴィエーヌ。ボブを取り巻く3人の登場人物の心理描写も見事に描き分けられてます。1967年作なんで微妙に古さは感じますが、今観ても充分ポップです。
あ、キレイでダイナマイッなお姉さん好きなKOROとしては黙っていられないわ!「007/サンダーボール作戦」のボンドガール、クローディーヌ・オージェ。水着どころか下着姿までもご披露。う〜む満足。
1967年/フランス/96分/監督:アラン・ジェシュア
JEU DE MASSACRE