キング・コング

ピーター・ジャクソン監督が長年夢みてきた、1933年作「キング・コング」のリメイク。ヒロインを演じるのは当時37歳のナオミ・ワッツ。

1933年、大恐慌時代のニューヨーク。出資者に見放された野心家の映画監督カール・デナム(ジャック・ブラック)は、かつてない冒険映画を撮ろうと幻の孤島“髑髏島(スカル・アイランド)”への航海に乗り出す。船長エングルホーン(トーマス・クレッチマン)をはじめ売れない女優のアン・ダロウ(ナオミ・ワッツ)と脚本家のジャック・ドリスコル(エイドリアン・ブロディ)、助手のプレストン(コリン・ハンクス)、主演男優のブルース・バクスター(カイル・チャンドラー)らスタッフを乗せ、危険な南インド洋の海域へと進む船。ようやく髑髏島に辿り着き、島に上陸した彼らだったが、原住民にアンをさらわれてしまう。彼女を救い出すために島の内部へと足を踏み入れた彼らが見たものは想像を絶する世界だった…


長いよ。188分だよ。「ロード・オブ・ザ・リング」じゃないんだよ。要するに怪獣映画だろ。なのに3時間超え。長すぎ。コングが登場するまでが長い、長い。1時間以上ありますよ。序盤は濃い味とんこつラーメンの人間ドラマがこれでもかッというくらいのクドさで展開。自宅でDVD鑑賞だったので、ちょっと寝た。ナオミ・ワッツはキレイだがKOROのツボにははまらない女優だし、エイドリアン・ブロディも狩猟犬にしか見えないし。しかしトーマス・クレッチマンはツボ。「ブレイド2」の時にダマスキノス役で拝見してるのだが、あれは素顔が判りマセンでしたから。ドイツ男には無条件にハマるミーです。

しかし。ピーター・ジャクソンのオリジナル「キング・コング」への並々ならぬ愛情は伝わるが、だからといってその愛情がこの作品を素晴らしいものにしたとは言い難い。さすがにご老体KOROもオリジナルの方はリアルタイムでは観てませんよ?ジェシカ・ラングがヒロインの1976年版「キングコング」だってリアルタイムじゃないわよ?…多分。

ピーター・ジャクソンはコングとアンのラブストーリーを描きたかったようだが、忠実なリメイクというのも実現したかったようで。それって矛盾するのではないかと。だってアンがコングを愛しちゃったらダメでしょ?コングの愛を理解しちゃったら、既にオリジナルとは違ったものになるでしょ?コングのアンに対するひたむきな、だけど叶わぬ愛。誰にも理解されない愛。求めれば求めるほど恐れ、逃げる愛しい人。そしてコングは理解のない人々に追い詰められ、エンパイアステートビルに登るしかないのですよ!悲しいじゃありませんか!でも、このリメイク作品はアンがコングの心情を理解しちゃうんだなぁ〜。ちょっと違うかも。

超大作「ロード・オブ・ザ・リング」を見事な手腕で作り上げた監督なので、実は3時間という上映時間はさほど苦ではなかった。特に髑髏島についてからの展開はまさに怒涛でスペクタクル・シーンの連続。そして初期のピーター・ジャクソン作品を彷彿とさせるエゲツないシーンも満載。○○との戦いもリアル過ぎてオリジナルのシーンを再現したというよりも「ジュラシック・パーク」を観ているような感覚に陥る。アメリカ本土に戻ってからの展開も目が眩むほどの圧倒的な映像で口ぽか〜ん状態。まぁ、どうやってコングを連れ帰ったのかは不明ですけどね。

ピーター・ジャクソンの嬉しくて堪らない気持ちは充分伝わってくるし、驚異のCG技術を駆使した映像も素晴らしいが、肝心のコングに感情移入出来ないのでやや減点。
2005年/ニュージーランド・アメリカ/188分/監督:ピーター・ジャクソン
KING KONG
2008.02.19記

「美女が野獣を殺した」
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