激流

休暇は終わった…

休日を利用し、川下りを楽しもうと息子ローク(ジョゼフ・マッゼロ)、夫トム(デヴィッド・ソトラザーン)と共に故郷に里帰りしたゲイル(メリル・ストリープ)はウェイド(ケヴィン・ベーコン)とテリー(ジョン・C・ライリー)という2人の若者と知り合い、共に川下りをすることに。しかし、その2人にはある秘密があり…

迫力ある川下りシーンとメリル・ストリープの太い二の腕が観る者の目を釘付け!


ほぼ全編が本物の川でロケーション撮影されたという当作品。ホントにどうやって撮影したんでしょうと思ってしまうような迫力あるシーンの連続。荒々しい水しぶき。全てを飲み込むかのように襲いかかる激流。ダイナミックな自然描写に目を瞠るばかり。激流を下るシーンの迫力とメリル・ストリープが女だてらにガッツンガッツン川を攻めていくサマに度肝を抜かれる。メリルおばさん太腕繁盛記物語。

ゲイルは元急流川下りのガイドをしていた川下りの名人という設定ですが、それにしても逞しい。仕事一筋の夫との仲は冷え切っていて息子のロークは父のことをよく思っていない。ロークの誕生祝いに川下りにやってきたものの、夫との関係は修復しがたく─。そんな伏線を後半上手く生かしているのもいい。

頼るべき存在であるはずの夫は頼りにならず、幼い息子と2人で本性を現したウェイドとテリーにに立ち向かうゲイル。とにかくメリル・ストリープが往年の透明感溢れる美しさはどこへやら、太い腕を剥き出しで「エイリアン」のリプリーに引けを取らない活躍で頑張る、頑張る。恐れ入りますの一言ですわ。

不敵な面構えのウェイドを主役を食ってしまう程の存在感を身に付けたケヴィン・ベーコンがこれまた憎らしいくらい、うまく演じてます。

息子役の少年も可愛いし、巧い。「ジュラシック・パーク」でティムを演じた子。夫であるトムが少し影が薄いのがKORO的に淋しい。演じるデヴィッド・ストラザーンはオールマイティな役者で作品ごとにガラッとイメージが変わる役柄の幅が広い人。もうちょっと活躍の場があって欲しかったけど、ゲイルを演じるメリル・ストリープも負けず劣らず役者バカ(褒め言葉よ)なんで、影が薄くなるのは仕方ないところか。

激流下りという本筋にアメリカ映画お決まりの夫婦の崩壊というテーマも描かれておるワケですが、本筋にうまく練りこまれていてサスペンス要素を盛り上げていました。

もうちょっと心理的なやり取りが描かれていれば、夫の存在も生きてきて、より一層深みを増したんではないかと思うのが残念なトコロ。

タイトルは地味(原題、邦題ともに)ですが、とても楽しめる作品です。
1994年/アメリカ/112分/監督:カーティス・ハンソン
THE RIVER WILD

「M・ストリープと共演して食われないのはデ・ニーロだけだと思う」
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