雲の中で散歩

1942年のイタリア映画「雲の中の散歩」をキアヌ・リーヴス主演でリメイクしたラブ・ストーリー。

第二次世界大戦が終結し、故郷へと戻ったポール・サットン(キアヌ・リーヴス)。しかし再会した妻ベティ(デブラ・メッシング)の愛は既に冷めきっていた。出征前の仕事であるチョコレートのセールスに戻ったポールは汽車に乗り、仕事に向かう。偶然、車中で知り合ったメキシコ人女性ビクトリア(アイタナ・サンチェス・ギヨン)に惹かれてしまうポール。彼女は妊娠中だったが相手の男に捨てられて心に深い傷を負いながら、故郷へと向かっていた。古くから続くぶどう農園を営むビクトリアの実家はメキシコの上流階級で厳格な父アルベルト(ジャンカルロ・ジャンニーニ)は未婚のまま、身ごもった上に男に捨てられた自分を決して許さないだろうと戸惑いながらもポールに打ち明けるビクトリア。情にほだされたポールはつい、彼女の夫を演じることを引き受け、一緒に彼女の実家であるぶどう農園へと向かうのだが…


若くて気のいい、というかお人好し過ぎる帰還兵をキアヌ・リーヴスが演じております。「スピード」で大ブレイクした直後の作品。当時、キアヌ大ファンの女の子にせがまれて封切り直後に観に行った。ロマンスものは激しく苦手だがカワイイ女の子ちゃんの頼みとあれば断れねぇ。キアヌだろうが、なんだろうがかかってこい。勇ましく映画館に向かってはみたものの。時代設定が第二次世界大戦直後となっているのに、キアヌの風貌ははっきりいって浮いていた。古風な雰囲気の作風にマッチしていなかった。ついでに優しいだけが取り得の男に見えないワケよ。ホントは元SWATだろ、アンタみたいな。いくら美しい女性に頼まれたとはいえ、のこのこ夫のふりをしてついて行くか?なんか特殊任務のためなんじゃないか?と精悍な顔つきのキアヌを見ているとあらぬ妄想をしてしまいましたよ。それはともかく。

ぶどう園での暮らしぶりの映像は誠に美しいかぎり。ぶどうの収穫やワイン作りのシーンはとても楽しく、ポールの秘められた任務(そんなもんはナイ)なんてことは忘れて、どっぷりとぶどう園の美しさに浸る。厳格な父アルベルトを演じるジャンカルロ・ジャンニーニの頑固親父ぶりもいい。単に頑固なワケではなく、長く続く伝統ある家系と美しいぶどう園を守り抜くために時には厳しく、しかし心の奥底では誰よりも家族のことを大切に思っている昔気質のお父ちゃんを見事に演じておりました。そして相変わらず男前。ホント、イタリア男はいくつになっても旨そうだな。うほッ。キアヌののっぺりした顔なんて霞んじゃうわよッ!と叫びたかったが一緒に行った女の子ちゃんは猛烈なキアヌ大ファンだったので心の中で叫んでみたチキンなKORO。

夜の冷気からぶどうを守るために火を焚くシーンは今でもはっきり思い出せる程、美しい光景。
1995年/アメリカ/102分/監督:アルフォンソ・アラウ
A WALK IN THE CLOUDS

「この後、キアヌの大低迷時代しばらく続く」
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