刑事ジョン・ブック/目撃者

殺人事件を目撃してしまった親子と2人を守ろうとする刑事。傷を追いながらも親子を故郷の家へと送り届けた刑事が着いた村は、昔ながらの生活を送る戒律厳しいアーミッシュの村だった。

ペンシルバニア州。文明社会と隔絶し、厳格な規律に従って今なお17世紀の生活様式で暮らしているアーミッシュの村で暮らすレイチェル(ケリー・マクギリス)は数ヶ月前に夫を亡くした未亡人。ある日彼女は一人息子のサミュエル(ルーカス・ハース)を伴い妹の住むボルチモアへ旅行に出るが、乗り継ぎのために降りたフィラデルフィア駅のトイレ内でサミュエルが2人組による殺人を目撃してしまう。事件を担当した刑事ジョン・ブック(ハリソン・フォード)により警察署へ連れて行かれる親子。容疑者の面通しを行わされるがそこには殺人犯の姿はなかった。しかし翌日、署内に掲示されている新聞の切り抜きを見かけたサミュエルは犯人のひとりをジョンに告げる。母子が非常に危険な状況であると判断したジョンは2人を母子を秘密裏にアーミッシュの村に送り返すことにするのだが。


ストーリーは事件に巻き込まれた少年とその母親と2人を守る刑事という、割とありがちな内容です。しかし親子の住む村がアーミッシュの村という設定にしただけでなんだか叙情溢れる作品になってます。

サスペンス物というよりも刑事と戒律の厳しい村で生きる未亡人の束の間のラブストーリーです。例によって不器用だけど超誠実、真実路線まっしぐらってカンジのハリソン・フォードの持ち味が生きていてよろしい。未亡人役のケリー・マクギリスも非常に美しいです。「トップガン」や「告発の行方」での凛とした女性というイメージの強い彼女ですが、KOROはこの作品の彼女が一番美しいと思います。

どちらかというと殺人事件の目撃者となってしまった少年とその母親を守ろうとする一人の刑事の格闘ぶりを描いたサスペンス作品というよりもキリスト教非主流派として前時代的な生活を営むアーミッシュの人々と刑事の交流やロマンスに重きを置いた作品。そういったワケで殺人犯に追われ、親子と共に命を狙われるという展開ながら妙にハートウォーミングな雰囲気が漂った作品でありました。アーミッシュの村での暮らしぶりを描いたパートは観ているこちら側まで心温かくなるシーン満載。ジョンはいつまでもここにいればいいのにと思ってしまうほど。ま、そんなワケにはいきませんが。

手に汗握るサスペンスは期待できないけど、美しい映像とキャラクターのひとりひとりが丁寧に描かれている点など魅力溢れる作品です。
1985年/アメリカ/113分/監督:ピーター・ウィアー
WITNESS

「V・モーテンセンの映画デビュー作」
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