黒づくめの男たちとコナンがついに激突する劇場版「名探偵コナン」シリーズ13作目。
東京・神奈川・静岡・長野で計6人が殺害される事件が発生した。どの現場にもアルファベットが書かれたマージャン牌が残されていたことから同一犯もしくは組織による広域連続殺人事件に指定される。警視庁で各県警の刑事が一同に会した合同捜査会議が開かれ、特別顧問として毛利小五郎も参加する事になった。事件は被害者を拉致して別の場所で殺害したのは何故か、マージャン牌の意味、6人目の犠牲者が死の間際に呟いた「七夕、きょう」という謎の言葉、被害者の共通点、そして被害者から一つずつ所持品が持ち去られている理由と、多くの謎があった。
多くの謎に頭を抱える刑事達。事件の謎を解くヒントを見い出せぬままに会議は一旦、終了するがコナンは会議から出てきた一人の刑事が黒いポルシェに乗り込むところを目撃する。あの車は、まさかジン?何故、捜査会議に黒の組織が潜入したのか。連続殺人事件は黒の組織による仕業なのか。捜査を撹乱するキャンティとコルン。容疑者を追うベルモット。そして謎の人物アイリッシュ。
事件の捜査が進む一方、コナンの通う帝丹小学校と工藤新一の痕跡の残る帝丹高校に何者かが侵入する。黒の組織が確実に自分に近づいていると悟るコナン。同じ頃、7人目の犠牲者が発見される。事件の裏に潜む組織の影に灰原哀はコナンに警告を発するが、手をこまねいているだけでは自分だけではなく灰原や蘭、阿笠博士、仲間すべての命が危険に晒される。危険を承知で独り、捜査を開始するコナン。コナンを襲う最も危険な事件がはじまる─
ついに黒の組織との対決が劇場版で実現。ジンが登場ですよ!これまでもチラリとは登場シーンがありマシタが、物語の軸となっているのは初。観るしかねぇぞってことで期待しておったワケですが。イイッ!非常に見応えがあったぞ。なんといっても平次も出てきたしな!平次の色黒顔を拝めただけで得点2割増しだぞ!←単純KORO。もう“京都”って台詞が出てきた時点で「キターーーーッ」ですよ。まぁ出番は少なかったし、事件にもほぼ絡んでないがいいの。何気ない会話の中に新一と平次の友情が感じられるシーンに思わず目が潤んじゃったぞ。平次ラヴ。
しかし。当作品はTVアニメシリーズ「名探偵コナン」の10周年記念作品である「探偵たちの鎮魂歌」よりもさらにオールスターキャストじゃないのか?ま、警察関係者に限ってですが。コミック、TVアニメ共に風林火山編のみに登場した長野県警の大和敢助と上原由衣、劇場版7作目に登場した京都府警のおじゃる警部とか。横溝兄弟も揃って登場したなぁ。それと群馬県警のへっぽこ刑事の山村が警部になってたのは驚いたぞ。小五郎の台詞じゃないけど「だいじょぶか、群馬県警?」ですよ。
黒の組織との対決を描いているせいか、これまでの劇場版に比べて原作コミック・TVアニメでの流れや登場人物を把握していないと状況が判り辛い点がやや見受けられたケド(黒衣の騎士のエピソードとか)、ちゃんと補足説明もあったので、原作コミックやTVシリーズをあまり知らない方でも充分楽しめる作りとなっておりました。
黒の組織VSコナンがメインなので活躍することはないんじゃないかと思われた少年探偵団をしっかり絡ませた伏線の張り方もなかなか見事。ま、偽者の正体は瞬時に判ったがそれは些少な問題。とにかく最近の劇場版に多かった「バンバン爆破させとけば何とかなる」的なパニック色の強い展開ではなく、しっかり謎解きとそして黒の対決との真っ向勝負を描いていて、その畳み掛けるようなサスペンスぶりに興奮したしマシタよ。唯一の不満点は真犯人の動機かな。アンタ、それはないだろ。
今までゲスト声優を採用したことがなかったコナン劇場版が13年目にして初めてのゲスト声優として起用したDAIGOの演技はまぁ、それなりにってことで。出番も少なかったしな。黒の組織の一員だったりしたら、かなり暴れてましたが。
少年探偵団が小さなヒントから事件のひとつの謎を解いたり、蘭も「14番目の標的」以上の冴えた技を披露してくれたり、なによりクライマックスのコナンと黒の組織の緊迫感溢れる対決ぶりが素晴らしい。ラスト間際のジンのあの表情。たまりませんッ。あの顔を拝めただけでも観た甲斐があったぞ。
これまでの劇場版と比べると荒唐無稽さも蘭との恋模様も抑え目でド派手な爆破シーンもありませんが、原作コミックでも黒の組織が絡んだエピソードは重苦しい雰囲気だし、KORO的にもそのハードボイルドタッチな展開が好きなので、そんな原作コミックでの雰囲気を大切にした当作品は劇場版コナンシリーズでも一番のお気に入りとなりマシタ。
2009年/日本/110分/監督:山本泰一郎
名探偵コナン 漆黒の追跡者(チェイサー)
2009.05.06記