今!バイオレンス・ヒーロー誕生 もう許せない 今!恐怖の暴力に復讐の戦いが始まる
荒廃した近未来を舞台に我が物顔で暴れまわる暴走族と彼らに友人と妻子を惨殺された警官の攻防を描いたバイオレンス・アクション映画。
今からそう遠くはない近未来。世界は荒廃し、巷では暴走族による凶悪事件が続発していた。暴走族専門の特殊警察隊MFPの隊員であるマックス・ロカタンスキー(メル・ギブソン)はチューンアップされたパトカー“インターセプター”を駆って日夜、暴走族の摘発に明け暮れていた。そんなある日。暴走族で警官殺しの凶悪犯であるナイトライダー(ヴィンス・ギル)がマックスの容赦ない追跡に恐れをなし、運転操作を誤って事故死してしまう。これによりマックスはナイトライダーの復讐を企むトーカッター(ヒュー・キース・バーン)率いる暴走族に命を狙われる身となってしまう。手始めにマックスの同僚で親友でもあるジム・グース(スティーヴ・ビズレー)が彼らの手に掛かり、焼き殺されてしまう。動揺が隠しきれないマックス。家族にまで危険が及ぶと感じたマックスは辞表を出し、妻子と共に身を隠すことに。だが執拗なトーカッター達の魔の手は愛する妻ジェシーと息子のスプロッグに容赦なく襲い掛かる。許せねぇ!オマエら、まとめて地獄行きだ!怒りに燃えるマックスの復讐がはじまる!
はい、この作品は1979年度(いっせんきゅうひゃくななじゅうきゅうねんど)の作品です。怖いですねぇ、恐ろしいですねぇ。この作品、オーストラリアの作品です。ジョージ・ミラーという監督とメル・ギブソンという無名の俳優が主演を務めておるんですが、これがいいねぇ。…え〜と。困った時の淀長さん風な語り口をどうにかしろ。全然、似てないし。大体、日曜洋画劇場で「マッドマックス」って放映されたっけ?「ゼイリブ」とか「未来警察」が放映されたのは覚えてるけど、この作品は記憶にないなぁ。ま、それはともかく。
実際、この作品は公開当時は全くといっていいほど注目されていなかった。今ではおこちゃま向け作品以外で見られることはないが、この作品が公開された時は同時上映が基本だった。そして当作品はメインではなく、どっちかというと併映。メインの作品はなんと「メーン・イベント」でしたよ。え?知らない?当時はコッチの方が断然、客が呼べる作品だったんだよ?主演がライアン・オニールとバーブラ・ストライサンドですから!…し〜ん。
ミーはライアン・オニールのファンだった従姉にムリヤリ、引っ張られて観に行ったさ。なんで正月早々、くるくる巻き毛のおっさんとさらにくるくるパーマのおばちゃんの引退したボクサーと鼻っ柱が強いおばちゃんの恋模様なんて観なくちゃいけないのさと大いに不満だったが、併映のこの作品を観てぶっとんだ。スゲェよ、正月からエラくバイオレンスなもんを観ちまったよ。うひょ〜ッ!こいつは春から縁起がいいや!と小躍りして喜んだ。従姉とその友達は「残酷すぎて観るにたえない」とご立腹でしたが、ナニ言ってるんだ。この作品の数ヶ月前にやっぱりムリヤリ、ミーを引き摺って「ゾンビ」を観に行ったホラー好きがナニ言ってやがるですよ。そんなご幼少時の思い出はおいといて。
35万ドルという低予算で作られた作品ですが、そのスピード感溢れる展開、畳み掛けるようなバイオレンス・シーンは低予算ということを全く意識させない。逆に荒廃した近未来という雰囲気がよく出てたように思う。オーストラリアの荒涼とした原野で敢行されたアクションシーンが迫力満点。予算を抑えるために演技は素人だがホンマもんの暴走族を大量に起用していたらしく、彼らが醸し出すヤバい空気は観ているだけで冷や汗ものです。そしてなにより主役のメル・ギブソンが素晴らしい。ほとんど台詞らしい台詞はないが友を殺され、さらには愛する妻子までも奪われたマックスの例えようのない怒りと悲しみがジンジン伝わってきましたよ。全身を包む黒革のスーツ姿に痺れた。当時のバイク好きの憧れの的だったカワサキZ1やホンダのCBの登場も嬉しい限り。
荒削りでバイオレンス過多な当作品は誰にでも絶賛、オススメ出来る作品ではありません。しかし当時23歳のメル・ギブソンがやや垢抜けてない気はしますが、かなりカッコいいし、無表情に復讐を遂げていくストイックなマックスの姿に痺れること必至ですので機会があれば是非、どうぞ。ただ現行のDVDは英語音声のみで地上波で放映された時のトーカッターの名吹き替えが収録されてないのは残念なところ。
1979年/オーストラリア/94分/監督:ジョージ・ミラー
MAD MAX
2009.02.08記