マイノリティ・リポート

誰でも逃げる

スティーヴン・スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演の近未来SFサスペンス。

西暦2054年、ワシントンDC。政府は度重なる凶悪犯罪を防ぐ策として“プリコグ”と呼ばれる3人の予知能力者によって未来に起こる犯罪を事前に察知し、事件が実際に起きる前に犯人となる人物を逮捕するという画期的な方法を採用し、大きな成果をあげていた。ジョン・アンダートン(トム・クルーズ)はその犯罪予防局のチーフとして活躍していたが、ある日、自分が36時間以内に見ず知らずの男を殺害すると予知されたことから、一転して追われる立場となる。


マ〜ダ〜。いきなりですが、たった3人のプリコグに頼ってるだけの犯罪予防策が画期的なのか?彼らが死んだらどうするつもりなのでしょうか。第一プリコグには人権はないのか。多分、敢えてその辺りは目を瞠ったのではないかと。近未来描写とアクション的要素に重きを置いたためにバッサリ削ぎ落としたのだと思いたい。まぁそれはともかく。

監督がスピルバーグということもあり、いつものトムちん映画にありがちな俺様映画な雰囲気は薄いデス。爽やかだけど胸ヤケしそうなトムちんスマイルも禁止令が出たらしく、ほとんどなかった。前半の2054年の未来描写が凄かったよ。あら、車が道路だろうがビルの壁面だろうが走ってますよ。コーンフレークの箱さえしゃべる広告ですよ。トムちんが操作するコンピュータも欲しいなぁと思いました。しかしストーリー後半は急激に未来描写が減ったような気がする。傘が現代と形状変わらず。ちょっとガッカリ。1982年作の「ブレードランナー」に登場した傘の方が数倍、未来的だったぞ。ストーリー前半のド派手未来描写に割きすぎて予算が尽きたのかとイラン心配をしましたよ。そんなKOROの下世話な心配はともかく。

随所に織り込まれるスピルバーグ的おふざけもけっこう楽しめた。あのトムちんがコロコロ転がっていく自分の○○を必死に追いかける姿なんて他の作品ではまず観られませんもの。しかし、やはりトムちん。つらい過去を背負い、ドラッグに溺れていても何故かクドいくらいに爽やかで健康的です(褒めてない)。あ、プリコグのアガサを演じるサマンサ・モートン。坊主頭がカワイイわ。デモ、怖い。「あれが見える?」といった時の表情とか。それといきなり叫ぶのは勘弁。マジ、ビビったわ。プリコグならもう少し早くトムちんに危険を知らせてあげろと軽くツッコんでみた。

中盤以降、アクションから謎解きにストーリーがシフトしてくると微妙に話しがややこしくなってきてミーの単純な脳では内容が染み込むのに時間がかかりました。これでもかっ、これでもかっと執拗なまでの終盤のどんでん返しに少々お腹いっぱいな印象。完璧に思えたシステムがはらむ危険というのを描いているので真犯人探しがストーリーのキモではないが、それでも犯人の正体が判るきっかけが下手なミステリ小説みたいなのは驚いた。いまどき、そんなオチはないだろ。あれはイカン。
2002年/アメリカ/145分/監督:スティーヴン・スピルバーグ
MINORITY REPORT

「嘔吐棒」
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