オードリー・ヘプバーン主演のミュージカル大作。
1912年のロンドン。オペラハウスの前で花売り娘のイライザ(オードリー・ヘプバーン)の話す言葉を熱心にノートに取る男がいた。彼の名はヒギンズ(レックス・ハリソン)。下町上がりの成金に上流階級の話し方を教えて生計を立てている言語学者。その場に居合わせた友人で言語研究家のピカリング大佐(ウィルフリッド・ハイド=ホワイト)に「自分の手にかかれば、どんなに下世話な花売り娘でも半年で舞踏会でも通用するレディに仕立て上げられる」と豪語するヒギンズ。
翌日、ヒギンズ宅を訪れたイライザは自分を一人前のレディに仕立てるよう、ヒギンズに頼む。はじめは断るヒギンズだったが、ピカリング大佐の「もし成功したら、イライザの授業費を全額持つ」という言葉で乗り気になる。
早速ヒギンズの自宅に住み込み、訓練を受けるイライザ。しかしヒギンズの指導は過酷を極め、またイライザの訛りのひどさと下品な態度は修復不可能に思われた。来る日も来る日も続けられるレッスン。そして数ヵ月後、紳士淑女が集うアスコット競馬場に美しく着飾ったイライザの姿があった。果たして彼女は花売り娘からレディに見事な変身を遂げられるのか?
たしか昔に観たはずなんだが。観直してみてびっくり。ミュージカルだったのかよ。全然歌うシーンが記憶に残ってないよ。初めて観たのはTV放映だったのかなぁ。170分超えの長尺なんで放映時にはスッパリ歌の部分がカットされたのかなぁ。インターミッションが入ったのも覚えてナイぞ。デモ、どの歌も聞き覚えがある謎。「運が良けりゃ」とか「踊り明かそう」とか。
ミーはどうもミュージカルが苦手なんで、歌うシーンを勝手に自分の記憶から抹消してたのかなぁ。まぁヨイ。いや、よくない。なんつ〜か。オードリーの歌うシーンはほぼ吹き替えということをとやかく言うつもりはないが、どの曲もやたらと長くてテンポが悪くなってるのは物申したい。1曲あたり5分以上ないか?しかも、どれも意外とメロディが単調だったりするんだよなぁ。
歌うシーンに時間を割きすぎたのか、170分超えと長尺なのに、けっこうレッスン部分の描写がテキトーだったのも驚いた。残り6週間の特訓はナニをしてたんだ。イライザが秘書的な仕事をしてたってのも、ラスト近くになって一言説明があるだけなんで、どうしてヒギンズがあんなに慌てるのか判らんかったよ。
観直すまでは単純なシンデレラ・ストーリーと思ってたら全然違ったのも意外。終盤辺りはアイデンティティがどうだとか、けっこう深刻。あっけらかんとした内容だと思ってたのに。あんれまぁ〜。どうにもヒギンズに好感を持てないのも観ていて辛かった点。ヒギンズがイヤなおっさんにしか見えない。見た目はスンバらしくセクスィなおっさんなんだが。
2人が心を通わせるような描写も一切ないし、一体いつの間に○○を○くようになったのか理解出来ない。なのでラストはとってつけた感アリアリ。イライザは○○○はイケナイと思ふ。
不満ばかり連ねておりますが、オードリーの美しさは文句のつけようがない。序盤の花売り娘の時はどうしようもなく下品で喋り方がホントに耳障り。カゴをけっとばす彼女の表情、仕種。「ローマの休日」でギターで人をぶん殴っても気品が漂っていたアン王女とは大違い。コックニー訛り全開の下品な下町娘ですよ。デモ、ホントに溌剌としてて憎めない。当時35歳だけど小娘にしか見えないよ。そんな彼女が猛烈レッスンを受けて見事に変身。アスコット競馬場での大きなリボンのついたドレスを纏った彼女も美しいが、やはり舞踏会での神々しいばかりの美しさは尋常じゃない。
ミュージカル部分が冗長でダレるのとラストに納得がいかないが、オードリーの素晴らしい演技と美しさに星7つ。
1964年/アメリカ/173分/監督:ジョージ・キューカー
MY FAIR LADY
2010.01.12記