ラビリンス/魔王の迷宮

操り人形師として数多くの愛すべきキャラクターを生み出したジム・ヘンソンが持てるマペット技術を駆使して贈る驚異のファンタジー。

サラ(ジェニファー・コネリー)は多感で空想の世界で遊ぶのが大好きな15歳。実父と継母が外出するために異母弟のトビーの子守を引き受けるが、なかなか泣き止まないトビーにうんざりして愛読書である「ラビリンス」に登場するおまじないを唱えてしまう。「お願いです。ゴブリンの王よ、この子を今すぐどこかに連れ去って」と。その声を聞いたゴブリンの王ジャレス(デヴィッド・ボウイ)は彼女の希望通り、トビーをジャレスの支配するゴブリンの世界へと連れ去ってしまう。慌てて弟を返してくれるようにジャレスに懇願するサラ。そんな彼女にジャレスは冷たく答える。13時間以内に迷宮を抜けて自分の城へ来いと。時間内にジャレスの城にたどり着かなければトビーはジャレスによってゴブリンに変えられてしまう。サラは意を決して不思議な迷宮世界、ラビリンスへと旅立つ。どこまでも真っ直ぐな迷路。隠された抜け道。奇妙な生き物たち。ジャレスの城を目指し、サラの冒険が始まる。


お久しぶりに鑑賞した。今観ても色褪せないファンタジー世界に驚嘆した。マペット達の芸達者ぶりに驚いた。ジェニファー・コネリーの利発さと伸び伸びとした肢体に萌えた。そしてデヴィッド・ボウイのぴったりしたタイツ姿に大興奮した。なんだ、このゴブリンキングは!やたらと色っぽいぞ!こんな王だったら、ゴブリンだろうが構わんぞ!なんでも言うこと聞いちゃう!一生お傍にいさせて!たまらん、あのモッコリとしたタイツ姿がたまらん。もうジャレス王の立派な下半身から目が離せませんッ!歌いながら飛び跳ねるシーンに大興奮。

え〜と。なんでモッコリばかりに気を取られるかなぁ。この作品はモッコリ興奮映画じゃないぞ。ファンタジー作品だぞ。マペット達の素晴らしい動きと演技に目を瞠れよ。はい、すんません。気を取り直して。マペット達の生き生きとした動きが素晴らしいですよ。どのキャラクターも個性的。見た目はかなり醜いんだが、どこか愛らしい。迷宮の案内人を務めるホグルが特にスゴイ。身体の小さな女優が衣装を身につけてホグルに扮しているワケですが顔の表情はなんとアニマトロニクス。5人の操り師によってラジコン制御されております。女優と5人のパフォーマーが見事に動きと表情をシンクロさせた当時としてはかなり高度のアニマトロニクスを駆使したキャラクターであるホグル。その表情が電子制御されているものだなんて思えないほどに感情豊かです。ホグルの複雑な胸中を見事に表現した身体の動き、そして表情。スゲェの一言。

2メートルを越す巨体のルードや犬なのに激しく鼻が利かないサー・ディディモス、頭を投げ飛ばして躍り狂うファイアー・ギャング。とにかく登場するマペット達の動きがホントに生き生きとして一体、どうやって動かしてるんだと驚くばかり。圧巻はジャレスの城でジャレスがゴブリンたちと歌い踊るシーン。40体以上のマペットたちがジャレスと共に陽気に歌い、踊る姿はホントに楽しい。そりゃさらわれて来たトビーも思わずニッコリするわ。ま、作品を観ている間はジャレスとサラ以外は人間ではなくマペットだなんてことは忘れてラビリンスの世界に没頭。確かに今、観れば技術的にショボい部分もあるが(ファイアー・ギャングの件とか)、今どきのCGでは作り出せないものがこの作品にはある。

イマジネーション豊かな迷宮内部。醜悪なんだけど、妙に愛嬌があるオブジェや生き物。ミーが特に気に入ってるのは忘却の穴。無数の手が生えているその穴。一斉におしゃべりする手のその表情豊かなこと。それとサラが夢見るシーンがこれまたいい。仮面舞踏会の中、ジャレスを求めて彷徨うサラ。サラのまだまだ夢見る少女でいたい、でももう大人だと認めてもらいたい。相反する感情が表わされたこのシーンは同時にジャレスの揺れる心情も表わしている。ゴブリンを模した仮面で顔を隠した紳士淑女が恍惚とした表情で踊る中、流れるデヴィッド・ボウイの妖しく切ない歌。このダンス・シーンは何度観てもうっとりしちゃう。

ファンタジー作品ではあるけれど決して子供向けだけではないところもイイ。大人が観ても充分、鑑賞に耐えうる作品。叙情溢れる数々のシーンは童心に戻ること必至。それにデヴィッド・ボウイがゴブリン王を非常に魅力あるキャラクターにしてくれるのも大きい。いやいやながらもゴブリンの国を治めているってカンジがいいのよ。怖ろしいけれど、一度彼を見たものはその魅力に呑み込まれてもう二度と目を逸らすことが出来ない。そんな圧倒的に美しくて妖しげなゴブリン王を演じられたのはデヴィッド・ボウイしかいなかったと思う。ヒロインのサラ役を演じたジェニファー・コネリーも非常にヨカッタ。大人っぽさと夢見がちな少女という二面性を併せ持ったサラをしっかり演じていたと思う。クライマックスに見せる彼女の真っ直ぐな瞳。その真っ直ぐな視線にたじろぎ、美しい瞳の中に哀しさと臆病さを覗かせるジャレス。ミーはこのシーンで泣いてしまいマシタよ。ジャレスが欲したものはもしかして○○の○だったのかなぁ。

ジャレスの心の内を的確に捉えた主題歌をはじめとしたデヴィッド・ボウイによる挿入歌も素晴らしい。
1986年/アメリカ/102分/監督:ジム・ヘンソン
LABYRINTH
2009.03.17記

「永遠なんてそう長くはない 孤独に暮れるだけ それが地下の王国」
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