1970年代に蘇ったフィリップ・マーロウ。
私立探偵フィリップ・マーロウ(エリオット・グールド)はトラブルに巻き込まれた友人のテリー(ジム・バウトン)がメキシコへ逃げる手助けをするが、直後に彼に妻殺しの疑いがかかっていることを知る。しかもテリーはマーロウに告げた行く先とは違う場所で死体で発見される。妻殺しの遺書を残して自殺したと報道されるが、マーロウはそれを信じることが出来なかった。やがてアイリーン(ニーナ・ヴァン・パラント)という女性から行方不明の夫で作家のロジャー(スターリング・ヘイドン)を探し出して欲しいと依頼を受けたマーロウは、ロジャーが死んだテリー夫妻と関わりがあったことを知るのだが─
ソフト帽もトレンチコートもない、新たなマーロウ像を演じるエリオット・グールドに痺れるぅ!憧れるぅ!幼い頃のミーは男臭い映画や小説に異常興奮する妙なおこちゃまだったので、レイモンド・チャンドラー原作の私立探偵フィリップ・マーロウシリーズも鼻血垂らしそうな勢いで読んでおりマシタよ。さすがにもうすっかり内容は忘れちまったが。ついでに映画版はロバート・ミッチャム演じるフィリップ・マーロウが一番好きだったんだが、この作品を観てエリオット・グールド版マーロウにしっかり惚れてしもうた。
正直、チンピラ役で出演してるシュワちゃん目当てに観た作品ですが。イイッ!エリオット・グールド演じるフィリップ・マーロウがとんでもなくイイッ。ソフト帽もトレンチコートもないマーロウなんですケド。猫ちゃんまで飼ってるマーロウなんですケド。終始、ぼやっきぱなしで渋さとか粋という言葉とは無縁っぽいんですケド。デモ、イイッ。1970年代のエリオット・グールドは最高にカッコイイ。数あるマーロウ作品の中でも独特の雰囲気を醸し出しておる当作品ですが、ミーはアリだと思いマス。別にシュワちゃんのおパンツ姿が拝めるのが理由じゃないわよ?失礼ねッ。
もう登場人物がどいつもこいつも濃いとこからイイ。マーロウのお隣さんの常にマッパで過ごすお姉ちゃん集団とか、ミニ・ミーみたいな神経科の医者とか、すぐに裸になりたがるマフィアとか。そしてなんといってもロジャーの存在感がスゲェ。マーロウを食いそうな勢いで濃いキャラでしたよ。演じているのはスターリング・ヘイドン。作家としての自信を失い、酒浸りの生活を送る男を怪演しておりマシタ。「博士の異常な愛情」でリッパー将軍を演じていた人だ。まともなように見えて実はとんでもなく常軌を逸してしまってるおっさんが実にハマる役者ですなぁ。
ぼやきっぱなしのグールド版マーロウに最初はハードボイルドどころか半熟だなぁなどと思いながら観ておったワケですが。ストーリーが進むにつれ、どんどん惹かれていってしまうから不思議。全編を彩るけだるい音楽が作品の雰囲気に実にマッチしておるからでしょうか。ざらついた映像。終始、漂っているかのようなカメラワーク。そして湿っぽくて人間くさいマーロウ。金はないし、猫ちゃんには冷たくされるし、服のセンスも最悪だけど、決して能力がないワケじゃない。すぐにロジャーを見つけたしな。腕力ではなく減らず口でピンチを切り抜けるその姿に惚れちゃいマシタよ。
公開当時はあまりにイメージの違うマーロウ像に原作ファンからはかなりの不評を買ったらしいが。そんなコトは些少な問題なのだよッ。とにかく。色んな要素が渾然一体となったグルーヴ感が心地良いのデス。…すんません、ボキャブラリが非常にお粗末かつ陳腐なんで全然この作品の魅力を伝えるコトが出来マセン。ひぃぃ〜、流麗なタッチの文章が書きたいッ←ムリ
ミーはおこちゃまの頃に一度だけ原作を読んだっきりなので、ほぼ内容を憶えてないワケですが。それでもちょっとテリーが原作と違うような気がする。ついでにエンディングは全然違ってたような気がする。どっちのエンディングがいいかはお好みだと思いますが、ミー的には映画版かな。それまでの気だるさは一変、急にカタルシスという言葉を思い出したかのようなエンディングだけど。最後くらいハードボイルドにしちゃう?みたいな。○○○が○○ヤローなんで、ああするしかないみたいな。原作でのヤツはワリと○○ないキャラだったような気がするのだが。
銃撃戦もカーアクションもないハードボイルド作品があってもいい。
1973年/アメリカ/112分/監督:ロバート・アルトマン
THE LONG GOODBYE
2010.09.26記