マンハッタンの夕暮れ。あるアパートの一室。この部屋で1人の男が絞殺された。ブランドン(ジョン・ドール)とフィリップ(ファーリー・グレンジャー)の青年2人が同級生のデヴィッドを絞め殺したのだ。理由はない。ただ自分達が他の誰よりも優れていることを証明する為に。自分達が選ばれた存在であることを再認識する為だけに。
そして2人はデヴィッドの死体をチェストに隠し、パーティの準備を始める。2人の目的はこの部屋でパーティを催し、完全犯罪の成功を祝う事にあるのだ。やがてデヴィッドの父(サー・セドリック・ハードウィック)、恋人のジャネット(ジョーン・チャンドラー)、恋仇だったケネス(ダグラス・ディック)ら、デヴィッドに関わりのある人物たちがやって来てパーティが始まる。死体を隠したチェストにご馳走を並べ、殺人に使ったロープでデヴィッドの父に贈る本を縛ったりして、心の中で優越感に浸るブランドン。逆に犯した罪の恐ろしさに徐々に平静さを失っていくフィリップ。そんな2人の異常さに大学教授ルパート・カデル(ジェームズ・スチュワート)は疑念を抱き始め…
80分間、リアルタイムで進行するストーリー。舞台劇を意識した構成。動機なき殺人。この作品が作られた時代(1948年)だと、かなり斬新で実験的だったんでしょうなぁ。今観ると意外とのんびりチック。完全犯罪というわりに綻びだらけ。そしてジェームズ・スチュワートが微妙な役どころというか。デモ、ジョーン・チャンドラーが美しいので可。彼女のクール・ビューティぶりが拝めただけで得点3割増し。眼福。あ、なんとなく薄々は感じていたけど、やっぱり主人公2人は○○関係だそうデス。あらまぁ。
ヒッチコック作品としては地味目というか、あまり評価されてない作品であるようですがミーは意外と気に入ってマス。そこはかとなく漂うユーモア。主人公2人もキレイだし、ストーリーが展開されるアパートの一室がなんとも居心地の良さそうな部屋で憧れてしまいマスよ。1948年の作品にも関わらず、それほど古臭さを感じさせない映像にも驚き。
ハラハラドキドキ感は他のヒッチコック作品に比べるとやや薄いですが、パーティに招かれた人たちの何気ない一言で心理的に追いつめられ、青ざめるフィリップとその度に機転を利かせ難を逃れるブランドンの得意げな表情がなんとも言えずヨロシイので機会があれば是非ご覧下さい。
1948年/アメリカ/80分/監督:アルフレッド・ヒッチコック
ROPE