ドゴール暗殺計画をひっさげて、ジャッカルがやってくる!
1962年8月26日。パリ郊外でエリゼ宮殿から空港へ向かうドゴール大統領を乗せた車が襲撃される。奇跡的に大統領は無事だったが過去何度も大統領暗殺計画を企てた罪により、首謀者ジャン・マリエ・タリー中佐は銃殺刑に処せられる。全てはアルジェリアからのフランス撤退政策をとったドゴールに反対する秘密組織OASの仕業だったが、政府側の監視がこの事件によりいっそう厳しくなり、OASは動きが取れなくなる。
国外に逃れたOASの指導者ロダン大佐(エリック・ポーター)は最後の手段として、外国人でしかも当局には顔も名前も知られていない殺し屋を雇う事にする。その男の暗号名はジャッカル(エドワード・フォックス)。契約金は50万ドル。一方あることから、OASが新たに大統領暗殺を企てていると察知した当局は警察のルベル警視(マイケル・ロンズデール)とその部下キャロン(デレク・ジャコビ)に全権を任せる。着々と進められるジャッカルの大統領暗殺計画。正体さえ判らぬ暗殺者の手がかりを求め、昼夜を問わず捜査に当たるルベル警視。ドゴール暗殺計画を食い止めることが出来るのか?
イイ!久々に観たが素晴らしいッ!やや長尺ではあるけど、一瞬たりとも緊張感が途切れませんヨ。ジャッカル役のエドワード・フォックスのややナルシスト気味のジャッカル像もステキ。誂えた銃を試し撃ちする時の仕草や表情にフォーリン・ラヴ。ブルース・ウィリス、リチャード・ギア共演の「ジャッカル」がこの作品のリメイクですと?ちゃんちゃら可笑しいわッ!片腹どころかヘソで茶沸かしちゃうわよッ!ナニをどう間違って、どこをどう勘違いしたら「ジャッカルの日」が「ジャッカル」になるのか皆目、見当がつきマセン。こちらのジャッカルの変装は必然性があるし、説得力もあったケド、ブルース・ウィリス演じるジャッカルの変装は「007は二度死ぬ」のショーン・コネリーくらいムリがありましたからね。まぁ「ジャッカル」はツッコミどころ満載の愉快な殺し屋映画なので、比べなければそこそこ楽しめますケド。
あ、「ジャッカル」のコトなんてどうでもいいのよ。とにかくジャッカルが大統領暗殺に向け、準備していくサマはそれはもう用意周到、準備万端。追うルベル警視も冴えない風貌とは裏腹に素晴らしい推理力を発揮して着々とジャッカルを追いつめていきます。ヨーロッパが舞台なのに全然ウェットな雰囲気もなく、ドライかつドキュメンタリー風に描いてマス。暗殺を企てる者とそれを阻む者。両者の行動を淡々と描いていながら、緊迫感満載の展開に最後まで釘付け。目的のために邪魔な人間は躊躇なく始末する冷徹なジャッカルの姿に時に戦慄しながらも、目が離せない。彼が発する甘く危険な香りに見事にやられマシタ。対するジャッカルの正体を掴むために一進一退しながら捜査を進めるルベル警視の姿は人間味に溢れてて、エエおじさんやとこれまた応援したくなったり。
デモ、やっぱり冴えないおじさんより金髪、痩躯のジャッカルの方に味方したくなっちゃう。大統領暗殺さえ成功して欲しいと思っちゃう。内面などは一切描かれていないのに謎の暗殺者ジャッカルが非常に魅力的。ハデなドンパチもないし、台詞もそんなに多くないし、キレイなお姉ちゃんも出てこないケド、かなりお気に入りの作品デス。
ただ、中盤以降は逃げるジャッカル、追う警察の図式になってきてジャッカルが少々行き当たりばったりの行動をしている感が強くなるのは少々悲しい。クライマックスでは持ち直しますが、えぇ!ミーのジャッカル様がそんなコトしちゃうなんて信じられないわよッ!何故なのよ?と動揺してたら、あっという間にエンディング。ラストがあまりにもあっけないのは少々減点。
派手さはないけど、静寂の緊張感を見事に表現した暗殺者映画マイ・ベストです。
1973年/イギリス・フランス/142分/監督:フレッド・ジンネマン
THE DAY OF THE JACKAL