殺人魚フライングキラー

ピラニアが空を飛び人を襲う!ジェームズ・キャメロンの初監督作品。

カリブ海に浮かぶリゾート地で観光客が次々と惨殺される事件が起きる。食いちぎられたその身体はサメにやられたものなのか?海洋学者で潜水教室のインストラクターでもあるアン(トリシア・オニール)は、被害者の身体を見てサメなどによる仕業ではないと直感する。警察官である夫スティーヴ(ランス・ヘンリクセン)の制止もきかずに独自に調査を進めていくうちに軍が秘密裏に開発したピラニアとトビウオを掛け合わせた殺人魚の仕業であることを突き止める。危険を察知したアンは近く浜辺で行われる観光イベントを中止するように市長に進言するのだが…


B級です。いきなりですが、間違いなくB級です。オープニング・タイトルのショボさと安っぽい音楽からして「こりゃダメだな」と容易に予想出来ますよ。でも個人的には好きです。チープな特殊効果がへぼいモノ好きのKOROの心を大いに揺さぶりました。陸軍の開発した生物兵器殺人魚フライングキラー。ピラニアとトビウオを交配した世にも恐ろしい殺人魚の卵をうっかり海に落としちゃったから、さぁ大変。阿鼻叫喚ですよ。リゾート地のカリブの海は大パニックです。ま、実際は大して阿鼻叫喚ではありマセン。なんといっても低予算だし。準備不足だったらしいし。

とにかく肝心のフライングキラーがちっともリアルじゃナイ。もうおもちゃ以外のなにものにも見えないというヘボさ満開の出来。逃げ惑う観光客もあんまり恐怖に怯えてるように見えません。なんつっても低予算ですから、殺人魚の大群が一斉に飛行するシーンなし。せいぜい2〜3匹のフライングキラーが観光客の首元に食らいつくシーンがあるだけ。しかも襲われてる本人が一生懸命にフライングキラーが動いてるように見せてるとしか思えない挙動デス。いや、いいんだけど。面白ければ。でもな〜、徹頭徹尾これがオモロくないんだわ。致命的なことに一切、怖くないんだわ。編集があまりにもお粗末なせいなんでしょうか。盛り上がるのか?と思ったら場面が切り替わるし。それが大抵エロいシーンというのはどういうことなのか。

そういや冒頭のシーンもいきなりエロシーンだったな。「潜水しながらあんなことをするから食われてしまうんじゃ、ヴォケ」としかコメントのしようのないツカミですわ。いきなり素っ裸になっておっぱじめるバカップル登場ですよ。男の水着をナイフで切り裂くお姉ちゃん登場ですよ。アンタら、帰りはどうするつもりだ。他にもライフセーバーをたらしこもうと必死になる厚化粧おばば、医者ならなんでもいいやとばかりに誘惑する個性的過ぎる容貌のお姉ちゃんに、いきなりトップレス姿で気ままに航海を楽しむエロ姉ちゃんコンビ、ヒロインの息子に色目を使う娘ッ子が登場したり、極めつけはヒロインがいきなり欲情して浮気をおっぱじめたりと殺人魚の数よりもエロ姉ちゃんの数の方が上回ってのじゃないのか、このビーチはというくらいエロ満載です。フライングキラーがショボ過ぎて怖がらせるのはムリだから、とにかくエロいシーンを入れてお茶を濁そうとしたのかと疑ってしまうほどにエロ連発。なんなんなんだ。

とにかく編集が雑。そして説明不足。怪しげな人物っぽく描かれているのに、なんの活躍もしないニヤけたお兄ちゃんが登場したり、クライマックスのシーンで一人でフライングキラーに立ち向かう割にはなんの策もなく、ただやられてしまうおっさんがいきなり登場とか。その場面をじっと見つめてるだけのヒロインにぽか〜んですよ。

一応、「ターミネーター」以降のキャメロン監督の特徴である困難に立ち向かうヒロインという図式ですが、いかんせんチープ過ぎる。そして安直。エンディングを迎えても、なんの感動も沸いてこないつ〜か。ヒロイン役の女優が魅力的でないのも痛い。判りやすいくらいにキャメロン好みの女優だなぁという風貌ではあるけど。サラよりもリプリー似なおばちゃんデシタよ。あぁ、出来はどうしようもなくショボいが、ランス・ヘンリクセンが出てたのは嬉しいかも。もったいない使われ方だけど。キャメロン監督はこの映画のことはあまり思い出したくはないらしい。

後年の「ターミネーター」や「エイリアン」を髣髴とさせるようなシーンがあるので(フライングキラーが○から飛び出るシーンとか)、そういう点を楽しんで観るのはいいかも。間違ってもパニック映画を期待してはイケませんよ。
1981年/アメリカ・イタリア/95分/監督:ジェームズ・キャメロン
PIRANHA II: FLYING KILLERS

「3年後、同じ低予算ながら『ターミネーター』という傑作を発表するJ・キャメロン」
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