毒には、毒を。予測不可能
フレデリック・フォーサイス原作の名作「ジャッカルの日」を現代に置き換え、かなり大胆に翻案。もはや別物としかいえない作品。冷酷な殺し屋をブルース・ウィリスが演じてマス。
FBIによって弟を射殺されたチェチェン・マフィアのボス、テレクは激怒。報復として正体不明の超大物暗殺者ジャッカル(ブリース・ウィリス)にアメリカ要人の暗殺を依頼する。テレクの動きを察知したFBI副長官プレストン(シドニー・ポワチエ)は刑務所に収監中の元IRA幹部デクラン・マルクィーン(リチャード・ギア)に仮釈放を条件に協力を求める。ジャッカルが狙っている要人とは一体、誰なのか?
名作「ジャッカルの日」のリメイクという触れ込みの当作品ですが、ほぼ別モノです。原作者のフレデリック・フォーサイスも怒るわ。この作品が「ジャッカルの日」のリメイクだとはとても思えません。まず追うもの(リチャード・ギア)と追われるもの(ブルース・ウィリス)の息詰まる攻防というのが希薄です。
要人暗殺という筋はオリジナルと一緒だけどこちらのジャッカルはインターネットや携帯を駆使するは、変装の名人だしでオリジナルのジャッカルより、かなり色々特技を持ってます。持ってはいるがそれが武器になっていないのが悲しいトコロ。特に変装の方は特技と言えるのか?ってカンジ。3歳のおこちゃまでも「ハロー、マクレーン!」と声をかけると思われるようなお粗末ぶりです。完璧に浮いてます。FBIが真剣に「ジャッカルは変装の名人だ」とか言ってるのを聞いて「最近のアメリカン・ジョークは捻りがききすぎだな」とか思ったよ。
そんな変装の名人(?)なジャッカルの素顔を唯一知っている男、元IRAの工作員マルクィーン。彼はジャッカルの要人暗殺を阻む為、FBIに協力することになるワケだが。ジャッカルとは並々ならぬ因縁があるワケだが。氷のようなジャッカルと炎のようなマルクィーンと映画の中では例えられていますが、どこが炎やねん。マルクィーンは炎は炎でもロウソクの炎のように心もとない。まずかつてイギリス軍を震え上がらせた伝説のテロリストってカンジが全くしない。ブルース・ウィリスはけっこう冷酷な殺し屋って雰囲気出してて頑張ってたと思うよ。ま、ミーはイケてないハゲのブリース・ウィリスを偏愛してますからね。
この作品を「ジャッカルの日」のリメイクとして観るとかなり噴飯ものですが、つっこみどころのある作品として観ると面白いデス。
まずお互いに相手を亡きものにしたいと思ってるはずなのに、いざ対面しますとなぜか見つめあいます。しかもかなりそのシーンが長いです。愛し合ってるモノ同士としか思えない濃厚な視線の絡み合いです。誰も素顔を知らず、20年間捕まってないわりにジャッカルは移動した先で人を殺しては死体の始末もせずにしっかりFBIに足取りを掴まれます。で、また移動。殺人を犯し、手がかり残してやっぱりFBIにばれる。以降繰り返し。あなたはホントにプロですか?無精ひげのあったマルクィーンが海に飛び込んで出てきたら、綺麗にヒゲが剃ってあったり。海の中でヒゲを剃るクセでもあるのか?もちろんブルース・ウィリスの変装(仮装?)は一番のつっこみどころです。
いやぁ、こんな愉快な殺し屋映画はめったにありマセン←褒めてナイ
1997年/アメリカ/125分/監督:マイケル・ケイトン=ジョーンズ
THE JACKAL