知りすぎていた男

ケ・セラ・セラ〜♪なるようになる〜♪

家族でモロッコに旅行中のアメリカン人医師のジョン・マッケンナ(ジェームズ・スチュワート)は懇意となったフランス人、ベルナール(ダニエル・ジェラン)の死に立ち会ってしまう。彼が死の間際にマッケンナに伝えた謎の言葉。「アンブローズ・チャペル」。ベルナール死亡の騒ぎも収まらぬうちに今度は一人息子のヘンリー(クリストファー・オルセン)が何者かの手によって誘拐されてしまう。マッケンナは妻のジョー(ドリス・デイ)と共に息子救出に奔走するが…


ヒッチコック監督お得意の主人公事件巻き込まれ型サスペンスです。人が溢れ返る中での殺人、要人暗殺計画、息子の誘拐ととんでもない災難に巻き込まれてしまうマッケンナと妻のジョー。どう考えてもいくら警察に報せるなと脅されているとはいえ、フツーは任せるでしょうと考えるような大事件というのにマッケンナ夫妻はたった2人で事件を解決しようとなさいます。まるっきり警察を信用してないようです。なんて無謀&ステキな夫婦なんだ!

どうもヒッチコック監督の警察嫌いが起因しているようです。もちろん彼の怖いと思ってる人物像が悪役になってたりします。ヒッチコックの映画って観る前からいろんな情報が入ってきて純粋に仕掛けとか伏線に酔えないのが難点なのですが、この映画のキーワード、“音”がそれは効果的に使われていて素直に楽しめマシタ。何度観てもドリス・デイの歌うシーンはステキです。息子の安否を気づかいながら“ケ・セラ・セラ”を高らかに歌うシーンは泣いちゃったよう。

マッケンナ夫妻の肩に力の入ってない言動も楽しい。要人暗殺の阻止と息子の救出という、とんでもなく大変な出来事に立ち向かっていこうとしてるのに、どこか飄々としてるんですよね。まぁ、2人は要人暗殺計画を阻まないと息子が助けられないから、要人も助けておくかってカンジなんですヨ。

元歌手であった妻ジョーが大使館に招待され、ピアノを弾きながら“ケ・セラ・セラ”を歌うシーンはホントにいい!列席者の「何故にケ・セラ・セラ?」という表情はお構いなしに声高らかに歌い続ける姿は強くてそして深い母の愛が伝わってきて涙です。そしてその歌声が広間を抜け、階段を下り、少しづつ歌声が小さくなりながらも大使館中響き渡り…。

さらっとしたエンディングもヒッチコックらしくていいですね。なんだかちょっとバタバタした数日だったなぁ〜。それじゃ、私たちはこれで失礼!みたいな。普通だと重くなりがちな内容の作品を軽く仕上げてて、何度観ても爽快感の残る逸品です。
1956年/アメリカ/120分/監督:アルフレッド・ヒッチコック
THE MAN WHO KNEW TOO MUCH

「ヒッチコックから見たら柴田理恵は怖いおばさん?」
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