IRAのテロリスト、マーティン(ミッキー・ローク)はIRAを抜けることを条件にある人物の暗殺を請け負うが誤って幼稚園のスクールバスを爆破してしまう。仲間や当局から追われることになった彼はまたも殺人を請け負う事で自由を得ようとするが、その現場をダ・コスタ神父(ボブ・ホスキンス)に目撃されてしまう。
決して口外できないという決まりを逆手に取り、あえて神父に殺しの懺悔をするマーティン。そして神父と彼の盲目の姪と一時を過ごす内に彼の中で何かが変わり始めていた。
KOROの好きな作家、ジャック・ヒギンズ原作の映画です。まぁ、ミッキー・ローク目当てというのが本音ですが。全体的に重く、静かなムードの映画なのでけっこう気合入れて観ないと疲れるかも。展開がまどろっこしいし、派手なアクションもないので出演者が好きで好きでたまらないとかじゃないと多分、最後まで観る気力は湧かないと思われます。ジャック・ヒギンズの「鷲は舞い降りた」が好きで何度も繰り返し読んだKORO。ついでに当時ミーハー人気だったミッキー・ロークも大好きだったKORO。これは観るしか!ってカンジで観た。今、冷静に考えるとヒギンズ原作の小説をミッキー・ローク主演で映画化とはなんて節操なしな取り合わせなんだとは思うが、若さゆえの過ちですよ。自分で自分を大目に見てあげたい気分満載。そんな若さゆえのしょっぱさはともかく。
人気にまかせて当時、へっぽこ映画だろうが構わずにバンバン出演してたミッキー・ローク主演の中でも異質な趣きの作品。多分、まったく注目もされなかった作品だったと思うけど、ミーはかなり気に入っております。原作ではマーティンはもっとおじさんだけど、それ以外は原作を忠実に再現した映画です。
神父達との安らぎの時を過ごすマーティンですが警察、IRA、そして依頼人にまで追われる身の彼に安住の地などあるはずもなく、やがて依頼人であるギャングに見つかり教会は襲撃されます。ラスト近くの崩れ落ちる教会の中で、傷を負った彼が足場を失い、縋りついたものはキリスト像でした。しかし、教会は崩れ落ちてしまい…。このシーンはキリスト教色が強く、日本人のKOROには完璧には理解できませんでしたが、とても象徴的で印象深いシーンでした。
世間一般の評判ではミッキー・ロークが主役をやるなんて許せなかったようですが、KORO的には運命の非情さに呑み込まれていく男を切々と演じていてヨカッタと思う。たしかに彼がアイルランド人というのは違和感かも知れないけど、孤独に生きてきたマーティンが垣間見せる弱さをしっかり演じててミーはラストで泣いちゃったよ。神父役のボブ・ホスキンスも味わいのある演技で良かった。ただ姪役のサミ・デイヴィスがちっともべっぴんさんじゃなかったのは残念。
1987年/イギリス/108分/監督:マイク・ホッジス
A PRAYER FOR THE DYING