香港の孤児院で育ったジョン・ロッシ(ヴァル・キルマー)。後にサイモン・テンプラーと名乗るようになった彼は、変装を駆使する怪盗“セイント”でもあった。ある日、ロシア帝国を復活させ、最初の皇帝として君臨しようと野望を抱く石油王のイワン(レイド・セルベッジア)の自宅へ盗みに入った彼は、金庫からマイクロチップを盗むがイワンの息子であるイリヤ(ヴァレリー・ニコラエフ)に見つかってしまい、命からがら逃亡する羽目に。得意の変装でイワンとの取引に臨んだセイントだったが、女性科学者エマ・ラッセル博士(エリザベス・シュー)から方程式を盗み出すように逆にイワンから依頼されてしまう。
「ミッション・インポッシブル」のヒットにあやかってか、これも1960年代にヒットしたTVシリーズが元になっています。よく知らないケド。ヴァル・キルマーがバットマン・シリーズ続投を断って出演した作品です。あっちを断って出演しただけあって、小粒ではあるがけっこう面白い作品。でも何故か「シャドー」とイメージがかぶっちゃうんですよ。どう考えてもこの作品の方が出来はいいと思うんですが、「シャドー」のお馬鹿スレスレのアレック・ボールドウィンVSジョン・ローンの対決シーンのイメージが焼きついてて、「え?ヴァル・キルマーがチベットでの悪行を悔い改めてサイモン・テンプラーになるんだっけ?いや、まて」としょっちゅう混同。やはり質よりインパクトってことか?
たしかにあまり派手ではありませんでしたが、こういうアナクロちっくな怪盗モノ大好きなKOROとしてはなかなか楽しめる作品でした。ラストのロジャー・ムーア(声だけの出演)とか懐かしきユーロビート調の音楽とか、かなりツボにはまった作品です。ヒロインのエリザベス・シューが意外と可愛かったのは驚き。彼女って小柄なのに妙に骨格が発達してるのかガタイが良く見えるとこや普段はアメリカン・ガールの典型ってカンジなのに、たまに妙におばさん臭い表情になるとこが不思議。意外と年なんだっけ?
バットマンでもどこかメロウだったけど、この作品のヴァル・キルマーはもっと孤独かつセクシーさが際立ってマシタ。もうちょっとド派手な見せ場があったら、なお良かったんだけど。
3つの奇跡を起こし聖者サイモンとなった怪盗セイント。やっぱり1960年代のTVシリーズはいい。古き良き時代の香りがたまらなくヨイ。「ミッション・インポッシブル」系がお好きな方にはオススメです。
1997年/アメリカ/116分/監督:フィリップ・ノイス
THE SAINT