キリスト教の“7つの大罪”になぞらえた猟奇連続殺人事件を追う2人の刑事を描いたサイコ・サスペンス。凝ったオープニングが象徴するように、デヴィッド・フィンチャー監督のスタイリッシュな映像造りと、ブラッド・ピット&モーガン・フリーマンの演技が光る作品。後味の悪さも光ってマス。
刑事モノとして観ると疑問抱きかねないと言いますか、かなり意表を突く展開ですが、サイコホラーとして観れば至ってフツーの展開だったり。オープニングの非常に凝った映像、やたら暗い画面。降り続ける雨。ゆっくりと流れる時間。最初の被害者(?)の発見。雰囲気バッチリでドキドキしながら観たのですが、無理やり7つの大罪を詰めようとしたのか後半は急に展開が早くなったような気がします。それになんだか罪の償わせ方(?)も後半は適当ってカンジ。ちょっとそれが残念。
とにかく後味が悪すぎる。救いようがない。ブラピ、モーガン・フリーマン、グウィネス・パルトロウと魅力溢れるキャスティングで中盤までは満点の映画なんですケド。あのラストのやりきれなさはかなり痛い。何が言いたかったんだろう?と真剣に悩んでしまった。単純にスタイリッシュなサイコサスペンスとして観れば楽しめる作品ですが、監督の意図がなんだかよく掴めなかった。
しかしデヴィッド・フィンチャー監督が只者ではないことは確かかも?この作品残虐なシーンって実際はあんまりなかったりします。動的な意味での残虐シーン。確かに数々の陰惨なショットはあるのですが、全てコトが終わった後の現場なんです。それを見せられるだけ。もしくは語られるだけ。そしてその残虐な出来事が起こっている時のコトを想像する恐怖。そういう想像力に乏しい自分がちょっと悲しい。もちろんミーの勝手な解釈なんで監督が意図してそういう風にしたのかは謎。でも殺害するシーンを描写してたら、この映画はただのサイコホラーだったかもと思ったワケです。あ、もちろんサスペンス溢れるシーンもあります。ブラピ危機一髪!なシーンとか。
犯人ですが、けっこう早々と登場します。なんだか犯人のキャラに迫力がないような?演じてる俳優の演技は素晴らしいです。でも犯人像があまり見えてこないんですよね。かなり魅力的な犯人像なのに惜しいってカンジ。
謎解きに重きを置いてるワケではないんでしょうが、ラストのオチがけっこうすぐ予想できます。あるシーンでミルズの奥さんがサマセットに言う言葉でとか。この映画にハッピーエンドを望んだワケではありませんが、どうせ後味悪くするならもっと強烈なのプリ〜ズ。エンディング間近の車中での会話もなんか今いちだし。なんだか文句ばっかり書いてますけど、実は3回ほど観てたり。モーガン・フリーマンと犯人役の俳優が好きなもので。
精神的にタフな時でないとダウナー状態必死の精神力剥奪映画(?)です。
SEVEN