シャイニング

冬の間閉鎖されるホテルに、管理人としてやってきた作家志望の男とその家族。そのホテルでは以前、管理人が家族を惨殺するという事件が起こっていた…

モダン・ホラーの帝王スティーヴン・キング原作というのは名ばかり、キューブリックがこれでもか!というくらいに独自に造り上げたホラー作品です。凝った映像よりも、キューブリック特有の長まわし撮影よりも、ジャック・ニコルソンの怪演だけが光っていると言っても過言ではない程、彼の独壇場でございます。

いつも自分原作の映画化には不満を持っているらしいキング氏ですが、この作品はかなり気に入らなかったらしく、後年TVドラマで自ら総指揮をして撮り直しています。彼自身は満足だったかもしれませんがインパクトでは断然映画版ですね。映画版の父親(ジャック・ニコルソン)は閉ざされた環境の中で作家志望なのにまるっきり文章が浮かんでこないなどのストレスから徐々に狂気を帯びていきます。とにかく彼のあの歪んだ笑顔はどんな亡霊よりも怖いです。

片やTV版(キング氏は映画版の母親のキャスティングにも超不満だったのか、レベッカ・デモーネイが母親を演じています)の父親はホテルに住み着く亡霊たちに取り込まれ正気を失っていくってカンジだったかな?どうしてもジャックの怪演と比べてしまって迫力不足な気がしました。あ、息子役の子の演技も映画版の方が良かったです。TV版の子も可愛かったケド目が大きすぎてちょっと怖かった。

凝った映像作り、完璧主義と評されるキューブリック監督ですが、この作品も巨大なホテルのインテリアやさまざまな小物、自然光の使い方などどれも美しくて、それが余計にそのホテルに住み着くモノのおぞましさを強調しているカンジでした。冒頭のホテルに向かう一家の車を空中から追うシーンでしっかり撮影してるヘリの影が地面に映ってたのはなんだかなぁと思いましたけど。

ラストが意外にあっけないのもちょっと残念でした。
THE SHINING

「レッドラム〜レッドラム〜。金田一くんでも使ってましたね」
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