もう一人の敵、それは「自分」
スパイダーマンはいまやニューヨーカーから絶大な信頼と賞賛を集める正にヒーロー。スパイダーマンであるピーター・パーカー(トビー・マグワイア)は恋人MJ(キルスティン・ダンスト)へのプロポーズも決意し、順風満帆の毎日。ところがMJは出演した舞台が酷評され、落ち込む一方。そんなある日、謎の黒い液状生命体がスパイダーマンに取り憑いた。スーツは黒く染まり、ブラックスパイダーマンとなったその戦闘能力はこれまでの数倍の威力。だが同時にピーターの心にも黒い影が。
そしてスパイダーマンの前に現れる3人の敵。ピーターの伯父ベンを殺害した真犯人で物理実験場に落ち、“サンドマン”と化したマルコ(トーマス・ヘイデン・チャーチ)、ピーターの正体を知り、父の復讐に燃える“ニュー・ゴブリン”となったハリー(ジェームズ・フランコ)、そして謎の黒い生命体。3人の強敵、自分自身の中でうごめく悪。クモ男に容赦なく襲いかかる苦悩と闘いの結末は?
サム・ライミ的悪趣味の片鱗が垣間見えるクモ男シリーズ第3弾です。すっかりうっかり感想書くの忘れてた。というか気持ち悪いんだもん。ピーターのダンスがッ!強烈にキモいッ!容赦なくえげつない。こんなシーンでサム・ライミ的クドさを出さんでも。
それとスパイダーマンがほとんど人助けしないのもなんだかなぁ。人助けシーンは最初だけでその後はヴェノムに侵されてしまったことで暗黒面発動。キレるピーター青春編になってます。ヒーローはどこへ行った!まぁ映像はとんでもなく素晴らしかったですけどね。暗いシーンが多いので爽快感はないですが。夜の闇でブラック・スパイダーマンがびよよ〜んと飛んでも見えにくいわ。高速すぎて目が追いつかんわ。
あ、ブライス・ダラス・ハワードが見事に化けてたなぁ。全然判らなかったヨ。そしてゴブリンJrが一番ヒーローっぽい。コスチュームも父ゴブリンより洗練されてるし。MJ?そんな女のことは忘れたな。俺のダンスの方が素晴らしいぜ。さぁ、しゃぶるように俺のダンスを見てくれよ!「ステイン・アライブ」ばりにニューヨークの街を闊歩する俺に見惚れてクレよ!ハッ、いかんいかん。ミーまでヴェノムに侵されるとこだった。あぁMJ?前作よりも更に痩せてより一層、貧相になってマシタ。そりゃ舞台もコケるわ。
MJのことはどうでもいいわ。問題はサンドマンよ!なんだあの中途半端なキャラ描写は。もっと深く掘り下げてくれ。敵をもう少し減らせばいいだけでしょ。豪華3点セットにしなくても。おかげでなんだか、どのヴィランも印象薄い。そして、この作品のテーマは“復讐”と“赦し”のようだけどラストで大団円にしなかったのも謎。どんな方面からの圧力か判らないが3作で完結じゃなかったの?6作まで作るらしいですがトビーも意外とお年ですよ?キルスティン・ダンストも続投はしないようだし。全編CGなのか?
スカッと爽快にスパイダーマンのヒーローぶりを期待したらキッチリ裏切られた。キモくて暗黒面満開のクモ男が観たかったワケぢゃないのに。
2007年/アメリカ/139分/監督:サム・ライミ
SPIDER-MAN 3
2008.02.09記