サマーウォーズ

「つながり」こそが、ボクらの武器。

仮想都市OZ(オズ)が人々の日常生活に深く浸透している近未来。高校2年生の小磯健二は天才的な数学の能力を持ちながらも、あと一歩のところで数学オリンピックの日本代表になれなかったことをいつまでも悔やんでいた。友人の佐久間と共にOZのメンテナンスを行うバイトをしながら夏休みを過ごす健二。健二と佐久間がぼやいている物理部の部室に先輩で校内のマドンナ的存在である篠原夏希がやって来て2人に言う。「ねぇ、バイトしない?募集人員1名なの」

そのバイトとは夏希と一緒に田舎に行くこと。彼女の田舎である長野県上田市を訪れた健二を待っていたのは夏希の親戚一家である陣内(じんのうち)家の個性溢れる面々。夏希の曾祖母で戦国時代から数百年以上続いている陣内家16代目の当主である栄の90歳の誕生日を祝うために親戚中が集まってきていたのだ。陣内家についたその日、健二は夏希から初めてバイトの内容を知らされる。「フィアンセのふりをして欲しい」と─。ムリだとその申し出を断る健二だったが、結局は夏希に押し切られることに。夏希のフィアンセ役に困惑し、振り回されながらも床についた健二は眠れない夜を過ごしていた。そんな健二に届く一通の携帯メール。「解いて」という言葉のほかは謎の数列だけが記されていた。夢中で解読する健二だったが、それが世界を一変させるきっかけになろうとは知る由もなかった─。


2006年夏に公開され、単館公開からスタートし、口コミでロングランヒットとなった「時をかける少女」の細田守監督の最新作です。「時をかける少女」は観てマセンが。KOROちゃん、オールドタイプですから。「時をかける少女」っつたら、原田知世ですから。「七瀬ふたたび」っつたら、多岐川裕美ですから。古いな、おい。KOROの旧型ぶりはともかく。

エラく友人K元くんがこの作品を観に行こうと言うので観た。金がないと言ったら、「俺出資で行くぞ」と男気溢れる発言をしてくれたのでお言葉に甘えて観に行った。予備知識とかもほとんどなく観に行きましたよ。知ってることといえば監督が「時をかける少女」の人だってことと、キャラクターデザインが貞本義行だってことくらい。ほぼ何も知らないに等しい。さて感想はと申しますと、いい意味で裏切られたと言いますか。「そっち方向へ行くのかよ!」と。SFファンタジーだったのか。都会の核家族家庭で育ったボクちゃんが田舎の大家族と触れ合うことで「家族っていいなぁ。ボクも夏希先輩と結婚してサッカーチームが出来るくらいの子沢山家族になっちゃおうかなぁ★」とかほのぼのしちゃうハートウォーミング作品だと思ってたよ←単細胞KORO。誰がそんな映画を観に行くんだッ。

え〜と。ミーの短絡思考はおいといて。OZ内でのヴァーチャル世界とノスタルジー溢れる田舎の風景が交錯する映像は観ていて飽きさせない。これでもかッつ〜くらいコントラストが鮮やかで色彩に溢れ、CG然としたOZの世界と穏やかな手描き風の暖かい色調で描かれた田舎の風景。ストーリーも田舎で大家族があれやこれやと大騒ぎするお話と見せかけて、どんどん話がぶっとんできて世界の破滅とか言い出しちゃいますから。壮大だな。ただ“セカンドライフ”などのメタバース、ヴァーチャル世界を理解出来ないと、作品の大半を占めるOZ世界の描写はちんぷんかんぷんかも。因みに会社の女の子にこの作品の内容をかいつまんで説明してみましたが、全く理解してもらえマセンでしたヨ。

ストーリー展開は見事としか言いようがないほど巧い。夏の風物詩といえる高校野球まで取り入れたストーリーに唸る。突飛としか思えないお話をスピーディかつ的確に観客に伝え、破綻なく纏め上げた細田監督の手腕は素晴らしいと思う。でも、キャラクターに魅力が薄いのは残念なところ。主人公であるはずの健二の存在感が決定的に弱い。そしてどのキャラクターもステレオタイプといいますか。見たまんまなんだよなぁ。それと、これはミーだけかもしれませんが妙にイラつく間の取り方が二ヶ所ほどありまして。あと数秒続いてたら、確実にキレてたかも。なんつ〜かなぁ、あそこであぁいう間はないと思うんだよなぁ。夏希が泣くシーンも減点。あんな泣き方をする18歳はいないと思うぞ。ありゃ幼稚園児の泣き方だ。

細かい点で不満はありますが、世界の危機を田舎の一家族が救おうとする突拍子もないストーリー展開を違和感なく楽しめたのは確か。「時をかける少女」も今さらながら観てみようかと思った次第。
2009年/日本/114分/監督:細田守
サマーウォーズ
2009.08.14記

「ジョンとヨーコ」
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