サスペリア

決してひとりでは見ないでください。白いトウシューズが真赤に染ったときスージーは、それが全て現実だと知った…

ドイツにあるバレエ学校に入学するためにニューヨークからやってきたスージー(ジェシカ・ハーパー)。バレエ学校に到着した彼女が見たのは建物の玄関で何者かに追われているかのように怯える生徒だった。意味不明の言葉を叫ぶその生徒。いきなり奇妙な光景を目の当たりにして不安が過ぎるスージー。ドアを開けてくれるようにインターフォンを鳴らすも返ってきたのは冷たい拒絶の言葉。なんなんなんだ、この学校は。仕方なくスージーは出直すことにする。翌日、再度学校を訪れた彼女はようやく入学を認められるが、厳格な主任教師ターナー(アリダ・ヴァリ)や盲目のピアニストのダニエル(フラビオ・ブッチ)、下男のパブロ(ジュゼッペ・トランソッキ)など皆がどこか奇怪なムードを漂わせていた。しかも早速はじまったレッスンの最中にスージーはいきなり体調を崩し倒れてしまう。一体なんなんなんだ、この学校は。そしてスージーを次々と襲う奇怪な出来事。彼女は恐怖と戦いながら、学校にあるモノが潜んでいることを知るのだが…


この作品は白雪姫と7人の小人のお話の影響を強く受けて作られたらしい。ホントかよッ!ま、たしかにヒロインのジェシカ・ハーパーの風貌は白雪姫チックではあるが。とにかく原色オンパレードの派手な色彩に恐怖を感じる前に目がクラクラしてしまいます。ゴブリンによる音楽も神経を逆なでしてくれる。血の色としか思えない赤く染まったバレエ学校。あの建物を思い出すだけで眩暈がするわ。

原色を基調にしたなんとも不思議な建物や音楽、ダリオ・アルジェント監督によるホラーは素晴らしいですねぇ。多くのホラー作品を手がけてきた彼ですが、この作品はそんなホラー作品の中でも超自然的な世界を描いたもの。この作品以外では「インフェルノ」もそうかな。ま、あまり威張ったことは言えんな。ダリオ・アルジェントの作品はこの作品と「インフェルノ」、「フェノミナ」、製作・脚本などにあたった「デモンズ」くらいしか観てないし。「シャドー」と「トラウマ」も観たような気がするが、「シャドー」はとんでもなくぶっ飛んだストーリーだったなぁとか、「トラウマ」はゲロ吐いてたなぁくらいしか憶えてないよ。そうそう「トラウマ」では実の娘のアーシア・アルジェントにゲロ吐かせたり、素っ裸にしてみたり、目の前で首チョンパを見せたりと実の娘相手に怪しからんコトを連発しておりました。真のホラー界の巨匠デスね。ある意味、尊敬はするが一生ベスト・ファーザー賞は貰えないだろうなぁ。

彼の監督作品は大抵、本編には全く絡まない無意味な殺戮シーンがあったり、とんでもなく不可解な方向へしか進まないストーリーに観客は観終わってもナニがナンだか判らない置いてけぼり状態になることが多々ある(というかほぼ間違いなく)ワケですが、この作品は割りとマトモな方。まぁやっぱり支離滅裂なストーリーですが。彼の頭の中には常に殺戮シーンが電波のごとく流れており、それを映像化するためだけに映画を撮ってるカンジ。ステキすぎるホラーおやじだ。公開当時はあまりに強烈な残酷表現にショック保険とかつけたらしい。因みにミーは目ん玉にピンが突き刺さってるトコも蛆虫が大量に降ってくるシーンも、「おぉキタッ」と大喜びで鑑賞。すんませんね、歪んでて。“決してひとりでは観ないで下さい”というキャッチコピーでしたが、1人で楽しく鑑賞したミーって不感症かしら。

原色いっぱいの画面に目がおかしくなっても構わない!ついでに発狂寸前の音楽に脳がガンガンしてもいい!不可解で支離滅裂なストーリーな上に殺戮シーンがとんでもなく残虐な作品を猛烈に愛しておる!という方にオススメ致します。
1977年/イタリア/99分/監督:ダリオ・アルジェント
SUSPIRIA

「D・アルジェントは面構えまでホラー」
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