誘う女

有名になるなら、死んでもいい。

田舎町でお天気キャスターをしているスーザンは「TVに映らなければ生きていく意味がない」という信念の持ち主。子供の頃からTV界のスターになることを夢見る彼女はそのためならば手段を選ばない。純真さと残忍さを併せ持つスーザンを二コール・キッドマンが地か?と思わせるほどの好演ぶり。

二コール・キッドマンは悪女の方が似合います。それも頭が切れる悪女ではなく、場当たり的な行動で周囲をかきまわすような悪女。この作品はそんな彼女にぴったり。とにかくスターになるためなら何でもします。自分では手は下さないけど。スターになるためというより“なる!”と信じている彼女です。そのシンプルだけど強烈な信念は頭が下がります、はい。

実話を元にした作品だそうですが、ホントにこんなことあったのねぇと驚いちゃいます。優しいけど単純で彼女の怖さがちっとも判ってない夫役をマット・ディロン、スーザンの魅力にメロメロになり利用されちゃう青年をホアキン・フェニックスが演じています。ホアキンがせつなさを感じさせるのはフェニックス兄弟の特徴かしら?マット・ディロンもお間抜けさんぶりがイイカンジ。可哀相だけど。

スーザンという女性を通して現代のマスメディアの異常な加熱ぶりや在り方をシニカルかつ少しコミカルに描いた作品です。

あんまり好きじゃなかった二コール・キッドマンだけど、この作品と「冷たい月を抱く女」の彼女は好きですねぇ。(悪女好き?)
TO DIE FOR

「マット・ディロンの野太い声がどうしても好きになれない」
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