「未来世紀ブラジル」のテリー・ギリアム監督が、クリス・マルケルの短編映画「ラ・ジュテ」を基に作り上げた異色作。
いつも同じ夢だった。空港を駆け抜ける男。膝から崩れ落ちていく男の後姿。泣き叫ぶ美しい女。…それを見つめる少年。あの男は、あの女は、そしてあの少年は…
20世紀末。全世界に蔓延した謎のウィルスにより、全人類の約99パーセントが死滅。生き残った人々は地上を追われ、地下での生活を余儀なくされる。2035年。ウィルスの原因を探るため科学者グループは特赦を条件に囚人ジェイムズ・コール(ブルース・ウィリス)に調査を命じ、ウィルスが蔓延しはじめた1996年に送りこむ。手がかりはただひとつ、“12モンキーズ”という謎の言葉だけ。しかしタイムマシンの故障によりコールが辿りついたのは1990年の世界。不審な言動から逮捕されたコールは精神病医キャサリン(マデリーン・ストウ)の立会いのもと、精神病院へと送られてしまう。病院では動物愛護主義の入院患者のジェフリー(ブラッド・ピット)のキレまくりの演説を聞かされた上に薬漬けにされてしまうコールだがやっとの思いで脱走し、2035年の世界へ舞い戻る。しかし容赦なくまた過去へと送りこまれ第一次世界大戦時の1917年を経て、ようやく1996年の世界に到着。再会したキャサリンに半ば強引に協力を求め、“12モンキーズ”の正体を追うコールだったが…
冒頭から繰り返される空港での回想シーンが泣かせますなぁ。少年の眼差し、逃げる男、泣き叫ぶ女…。エンディングでこのシーンのホントの意味が判るんですが、KOROちゃん号泣しました。そんなのアリかよ!
今作の主人公のハゲ、もといコールはかなり可哀想なヤツ。過去へ送り込まれたのはいいが、着いた先は事件が起こる6年も前だったり。2035年の科学者たちはへっぽこ集団なのか?アンタら危機感つ〜ものはないのか。おかげでハゲは精神病院送りだよ。あ、ハゲ、ハゲって連呼してるケド、ブルース・ウィリスがキライなワケじゃないわ。むしろ好きかも。ミーはハゲに偏見ありマセンから。どっちかというと男らしさの象徴だと思ってマスから。まぁハゲにも色々あるけどな。イケてるハゲとイケてないハゲ。え〜、そもそもイケてるのとイケてないの境界線はと申しますと…。ハゲ講義はいいんだよ。「12モンキーズ」の感想を書けよ。軌道修正。え〜と。ハゲがとことん可哀想デス。そうなのよ!悲惨なのよ!ロクな目に遭いやしねぇ。12モンキーズの正体も皆目、掴めやしねぇ。しかも知り合いになったのはイカレた兄ちゃんのジェフリーだよ。あぁブラピのキレた演技はヨカッタと思うよ。寄り目にワラタ。
一応ジャンルとしてはSFサスペンスとなっておりますが1996年の世界でキャサリンと再会した辺りから微妙にラブロマンスものにシフト。最初は人類破滅を訴えるコールをただの狂人としか思ってないキャサリンが徐々に彼の言葉を信じるようになるにつれ、ハゲしか愛せない身体になっていくというカンジ。おかげで謎のウィルスによる人類破滅というメインテーマが少々ぼやけた感がしなくもない。KORO的にはマデリーン・ストウがキレイだから無問題。かなり悲しいロマンスぶりデス。
映像はギリアム的な世界観満載。どす黒く、グロテスクなデザインに満ちた未来。タイムマシンなどの機械も有機的なカンジでちょっと気味悪くてステキ。一転、これでもかっというくらいに色彩に富んだ現代シーン。ラスト近くでコールが着てるアロハシャツもやたらと派手だったなぁ。
130分とそんなに長尺ではないが、中盤は中だるみして長く感じられたというのが正直なトコロ。謎の方もラストでスッキリ解けるワケではない。しかも救われない結末。やるせない。
基になった短編映画「ラ・ジュテ」は全編スチール・カットと男のモノローグで構成された29分という短い作品ですが強烈に印象に残る作品。近未来、廃虚となってしまったパリ。時間旅行。過去の記憶に取り憑かれた男。オルリー空港。12モンキーズのおかげで知るコトが出来たワケですケド。
1995年/アメリカ/130分/監督:テリー・ギリアム
TWELVE MONKEYS