007/美しき獲物たち

シリコン・バレー壊滅を図る、実業家マックス・ゾリンとジェームズ・ボンドの対決を描く007シリーズ第14作目。

英国が極秘に開発した最新型防衛システムに不可欠なマイクロチップがKGBの手に渡った。その事件の裏にはゾリン社の社長マックス・ゾリン(クリストファー・ウォーケン)が関わっていることを知ったジェームズ・ボンド(ロジャー・ムーア)は事件の謎を解明するため、彼の城へと潜入する。やがてボンドはゾリンがシリコンバレーを壊滅させ、マイクロチップ市場の独占を計ろうとしているのを知る。

12年間に渡り、7本の作品でボンドを演じたロジャー・ムーアと1作目からマネーペニーを演じたロイス・マクスウェルの勇退作。


ロジャー・ムーアがさすがにお爺ちゃんだ。還暦近いし。手の甲の皺々ぶりがやけに目立つ。デモ、アクションシーンではスタントを使っているのでお手々はツヤツヤ。違和感バリバリ。ミーがはじめて観た007作品はムーア・ボンド作品だったので、なんだかムーアお爺ちゃんの勇退には感慨深いものがあるのよねぇ。そしてマネーペニーも寄る年波には勝てないということで、もう勘弁してくれと言ったとか。お疲れサマでした。

あら、いきなりしんみりムードだよ。いかん、いかん。この作品はムーアお爺ちゃんの衰えをカバーするかのごとく脇を固める俳優陣が豪華デス。なんといっても敵役がウォーケン様ですから!「ぽっぽ〜ッ!」。いいわ、いいわ。007シリーズの中でも屈指の狂気的悪役。髪型さえ狂気。笑顔がおぞましくてステキッ!そしてボンド・ガールなのか激しく悩むが、きっと紛れもなくボンド・ガールなのであろうメーデー役のグレース・ジョーンズ。違う意味で激しく「ぽっぽ〜ッ!」。怖いよ、怖すぎるよ。美しいという言葉は時に凶器だよ。もう彼女の美しさは凡人には理解出来ないレベルなのですよ。いや、正直コワイだけだと思う。コワクてキレイなお姉さんは大好きだがコワくてイカツいお姉さんはちょっとムリかも。メーデーとヤッちゃうボンドにスパイ魂(?)を感じた。ムーアお爺ちゃん、偉いッ。しかしメーデーのおかげで正統派ボンド・ガールのタニア・ロバーツが霞んで見えて仕方がなかった。

あ、アバンタイトルの雪山アクションシーンで崖から落ちてく敵役のロシア人の叫びが何故か「おじいちゃ〜ん」と聞こえた。う〜む、敵でさえムーア・ボンドの勇退を惜しんでいる模様。敵にも愛される殺しの許可証を持つ男ですよ。素晴らしい。

アバンタイトルの雪山でのチェイス・シーン、エッフェル塔からダイブしたメーデーをルノーで追いかけるボンド、そしてクライマックスのゴールデンゲート・ブリッジでの攻防戦とムーア・ボンドの有終の美を飾るかのごとく派手なアクションシーン満載です。そしてデュラン・デュランによるテーマ・ソングもイイ。しかしサイモン・ル・ボンってねちっこい歌い方するなぁ。
1985年/イギリス/122分/監督:ジョン・グレン
A VIEW TO A KILL
2008.02.18記

「G・ジョーンズは実は怖がり。洪水のシーンであげてる悲鳴は演技ではなく素の叫び」
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